第20話 テリアでおとなのかいだんのっぼるー



さてこの糸縒り機、魔導で縒れるうえに、そのまま生地にまで出来ます。機織り機材要らねえ!! すげえ!! しっぽぽよよ-ん踊り!

「麻と綿花をこれで縒れるっすね。針金を作ってしまえばあれも糸、鉄の生地やそれで作った服、とかチェインメイルなんかもできると思うっす」

「なにそれすごい。でもでも、魔導銃みたいな鉄砲があるのに、防具って結構古臭いよね」


「ああそれはだな市長、物には【防具強化魔法】がかけられるからなんだ。それも硬いほうがいい防御になる。ルーデルが無駄に壁を作っているように見えても、中心部に強力な魔法防御の魔法陣を作って、壁をすべて強固な魔法で覆っているからな。だから今でもあの壁はかなり有効なんだ。ありゃー超強力な魔法でもびくともしねえし、きわめて強力な魔導銃でもびくともしねえはずだ」


「へえ……。じゃあみんなに鉄の服を支給すれば防衛力が一気に上がるってこと? ハンタみたいな四肢が不能になることも少ないってこと?」

「まあ、そうだな。【防具強化魔法】は初級の初級、使えないやつはほぼいない。ただ、魔法陣を書くとなると話が違うがな。」

「そっか……」


――――



秋にはとても魅力な山菜、野草、キノコが生えてきます。果実もいい感じに沢山実るんだよね。それを収穫して、錬金していくぜ!


「これはシビレタケウマ……、麻痺爆弾の材料、および麻痺毒の回復に使える……。こっちはマッターケ。純粋にお金になって美味しい。すぐ駄目になるから南の開拓地に売りに行こう……。ドクドクソウもある……。猛毒の原材料。動物をしとめる時に使える、ただし肉は取れなくなる。皮が欲しいときに……」


ほんと盛り沢山。


売却できるものにするために錬金術を行使して、各種ポーションを作成。南のテリアルブへ販売しに行ったよ。ハルキ君を護衛につけた。狩りと斥候ゴブリン倒しているだけでも結構レベルアップしてるらしいんだよね、強い強い。


しばらくって程でもないんだけど、まあいつの間にかテルアルブは見事に綺麗になっていたねえ。村と呼べる存在にまで発展したんじゃないのかな。それで報奨金か何かで一気に外観を綺麗にしたというか。


ここは専門街がないので市場で全部売却、2か月分のみんなに配るお給料をげーっと。

うーん、南の森は切り開いたほうがいいのかもなあ。ここに楽に来れれば、お給料の使い道も生まれてくるよね。


ただなあ、地球の歴史でもそうだったけど、防衛力の無い都市は他国に占領されてお仕舞なんだよね。今は森が守ってくれているけど……

悩ましいなあ。


「あの、サクラさん、僕たちの開拓地パールライトと、ここテルアルブは川でつながっていますし、舟を作ればいいんじゃないですか?」

「あー悪くないかも。舟なら森を切り開かなくていいよね。考えておくね」

「重量物も運び込めるようになりますし、是非ともお願いします!」


悪くない提案だよね。舟は人も重量物も持ち運べるって聞いたことがあるよ。江戸時代の江戸の水路はそうだったとか。

ま、後で考えよう。


売却したし一度帰還。



準備出来たらあそこに行かないと。



南の街テリアに。


ルーデルだけに頼っていてはいけない。遠くても違う街違う国を知っておかなければ。


ハリコー一家に新調してもらった革のお洋服一式を着て鉄道馬車……のレールの上を私とハルキ君を乗せたおきつね怪物『コヤヤ』で走り抜ける。

鉄道馬車も速いけど単騎掛けしたほうがやっぱり速い!


ルーデルの場合森で寝て体に生活魔法【リフレッシュ】をかけてから街に繰り出す、というまあ少々野蛮な行為を行う女性でしたが、テリアまでは道のりが長いうえに道が整備されているのでそういうことも出来ず、〈泣く泣く〉宿を使うことにしたよ。お金が飛ぶぜ……。勿論一番安い宿の一番安いプラン。

お便所に近かったり窓がなかったりとかするけど、まあ、森で寝るよりは全然ましだよね? 料金制シャワーあるしさ?

森で寝るくらいは普通なのだ、開拓地は過酷なのだ……! という言い訳。


それでついたテリアだけど、ルーデル程じゃあないけど2つの壁をもっていて、まあまあ大きいという感じ。


「ルーデルの十分の一くらいかなあ?」

「僕実はルーデル行ったことないのでわかりません……。でも城塞都市ではありますね。地球だと何万人くらいだったんでしょうか」

「2万から5万くらいじゃない?平地にある通常の都パリが、近代化する前の最盛期30万とか言っていた気がしないでもない。そこまでではなさそう」

「じゃあ数万人クラスってことですか」



そんな都市テリアになぜ来たかというと、販路開拓とあぶれ者探し。ルーデルは常にどんなものでも需要が大きいからあぶれ者が少なかったんだよねー。

大分様になった私の【大工技術】でもいいけど、これから石の家や壁を作るには大工さんがやっぱり必要。あと鍛冶屋さんとか―錬金術師とかー専門の守衛さんとか訓練トレーナーとか。専門職の需要は尽きないよー!


ぱっとみでわかったテリアの特徴は、亜人が多いこと!! しかもケモ要素が多い亜人さんが多い! ワーウルフのハンタがいっぱいる感じだね。

いやー国や地域によって人種ってこうも変わるんだねえ!


わいわいと浮かれていてもしょうがない。ここには案内ボランティアさんがいないので、労働者階級の酒場にいって、情報を集めよう! おかねは貯金崩して持って来てあるからそんなに心配いらない!

酒場にごにゅうてーん。たーのもー。

「あいお嬢ちゃん、飯にするかい?それとジュースかい?」

「これでも大人ですー!!スクリュードライヴァーとかないのですか。それかオレンジジュース。こっちの者にはエールを」

「え、僕未成年では……」

「異世界なんだもの20じゃないとのめない道理はないわよね?」


なんのかんの言いつつ乾杯。おれんじじゅーすおいちい。ハルキ君はエールの苦さに参ってるようだけど。おとなのかいだんのっぼるー。

さてと、うまいこと良い人見つかるかなー?

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