うちの猫 食パンみたいな色してる

enaga

うちのシニアな猫さん♂は


・なんか全体的に丸い

・撫でると手のひらにフィットするようにできてる

・どこを触ってもやわらかい

・どこを触っても もこもこふわふわもふもふしてる

・離れがたいあったかさ(夏以外)

・いつもとってもいいにおい

・しかし揚げ物をすると天ぷらの匂いになったりする


・青空色の澄んだおめめ

・無垢なまなざしで見上げてくる――飼い主めろめろ

・遊ぶ気とやる気に満ちたときはまんまるおめめ

・親愛の両目ウィンクで悩殺してくる

・ウィンクすると亡き祖母が目をしょぼしょぼさせてたときと似てる

・なにやら哲学者のような風情も見せる


・忙しいときほど遊びに誘ってくる

・忙しいときほどブラッシングをねだる

・忙しい飼い主の足もとに転がって可愛い顔をする

・テレビに目を向ければテレビ台に乗って画面中央に陣取る


・なぜかストレッチや筋トレ中に参加しに来る

・「猫に邪魔されるから続かない」という言いわけをくれる


・勢いよく脚に頭突きされてコーヒーをこぼしても怒れない

・いきなり大きく「ニャー!」と鳴かれて心臓どきどきしても笑ってしまう


・お行儀よくおててを揃えて座る

・ときにはキリリとおててをひらいて座る

・香箱を組んで丸くなる

・香箱スタイルのとき黄色いタオルを乗せると玉子のお寿司みたいになる

・伸ばしたおててを交差するスタイルもお気に入り

・アンモニャイトにもなれる

・すべてをおっぴろげて寝てみたりもする

・寝起きは無造作ヘア

・おててが白玉のようである

・全体的にお餅のようである


・爪を切られるときはコンニャク化して脱走を試みる

・防寒着を着せられるときも にょろにょろする

・いずれにせよすぐ捕まる


・カリカリを食べるときの音が可愛い

・カリポリとかじる音も お皿にカランと落とす音までも可愛い

・おっとりした速度で食べる


・姉夫婦のとこの姐御猫が来るとよく怒られてる

・自分のテリトリーでいばられても気にしない

・むしろ面白がって近づいてはパンチされる

・頭に爪を立てられてたこともある→そのままの姿勢で十秒ほど固まってた

・しかし頭の毛もふかふかしてるので無傷

・抜け毛の塊がごっそり落ちてるのを見ると「また怒られたな」とわかる

・おそらく対戦成績0勝全敗

・一度だけ、へそ天で寝る姐御猫の腹に「かぷっ」としたことがある

・毛先を口に入れる程度の「かぷっ」だったが、100倍返しくらいされてた

・思えば仔猫の頃も一緒に生まれた女子たちに転がされてた

・のんびり食べるのでおやつもよく取られる

・それでもやっぱり気にしない


・ケポる(毛玉などを吐く)と申し訳なさそうにうなだれる

・「気にしなくていいよ」と撫でるとゴロゴロ鳴らす


・おなかの毛が天然パーマでくりくりしてる

・ブラシは好きだがおなかにブラシされるのは苦手

・寝てる隙におなかにブラッシングすると抗議の目を向けてくる

・それでもブラシを続けるとグイッとブラシを押し返してくる


・呼べば来てくれる

・「おいで」と出した手に頭突きでタッチしてくれる

・気分によっては無視される

・たまには「うん」とか返事してくれる


・飼い主の椅子をぶんどる

・飼い主のベッドもぶんどる

・飼い主のPCもぶんどる――そして変なキーを押す

・床に下ろされても根気よくそばにいる

・ひたすら無言で見つめてくる

・根負けしてかまってしまう

・その代わり思い切り抱っこして すりすりもふもふスーハーする

・あまりにしつこくおなかを吸われると猫キックを試みるが空中を蹴ってる


・泣いてると来てくれる

・ときには慰めるように「ニャア」と話しかけてくれる

・しかし大概は無関心


・死んだフリをしてみたら こっちを見てなかった

・見てるのを確認してから死んだフリをしたら どっか行った

・さらに死んだフリをしてみたら 横に並んでゴロゴロ言ってた


・寒いとき寒い部屋で寝たがる

・暑いとき暑い部屋で寝たがる

・そのくせ寒がりで暑がり


・「入ってください」と促すとキャリーケースに入ってくれる

・そのまま「白猫宅急便です」と家の中を連れ回される

・別の日に「入ってください」と促すとまたキャリーケースに入ってくれる

・まんまと動物病院に連れていかれる

・車中でずーっと嘆き続ける

・病院に着くと精魂尽きたように静かになる

・診察中はまさに魂が抜けたようになっている

・帰りの車中でまた元気に鳴き始める

・翌日にはまた「入ってください」で入ってくれる 根に持たない


・どんな時間でも遠慮なく起こしてくる

・冷たいお鼻でチュウしてくる

・飼い主が起きずにいると枕に手をかけて顔を覗き込んでくる

・冷たい鼻息が顔にかかって寝ていられない

・どんなに眠くても可愛くて怒れないことをたぶんわかっている

・足の上で寝る猫のため、朝まで一切寝返りを打たず眠れるようになった

・しかし猫はいつのまにかいなくなってる


・元気に食べてくれるたび嬉しい

・健康に排泄してくれるたび嬉しい

・楽しそうに遊んでくれるたび嬉しい

・のびのび寝てくれるたび嬉しい

・そばに来てくれるたび嬉しい


・とにかく可愛い

・何をしても可愛い

・寝ても起きても可愛い

・噛まれたって引っ掻かれたって蹴られたって可愛い

・存在すべてが可愛い

・日々新たに可愛い

・一緒に過ごせば過ごすほど増す可愛い


・きみのおかげで一日百回は「可愛い」「いいこ」「ありがとう」と言ってる

・きみのおかげで笑ってばかり

・きみのおかげでたくさんの素晴らしいことに気づく


・神さま この子を家族に迎えさせてくれて 本当にありがとう

・最期まで大切に大切にします


・一緒にいてくれて いつも元気でいてくれて 心からどうもありがとう

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