第15話

 観客席からは歓声が湧き上がる。


「武闘家の一人が魔法使いがいるパーティに勝つとは……」


「仮に魔法使いが一人で相手が四人でも勝つのは難しいのに……」


「武闘家の宝だ!もっと試合を観たい!」


 など色々な声が聞こえてくる。


 俺は初戦を終えて舞台から降りる。


 すると、六試合目に試合をする[ブレイカーズ]のメンバー達と遭遇した。


 横を通っても目を合わせることなく前だけを見ていた。[ブレイカーズ]のリーダーを先頭に、舞台に上がっていく。


 [ブレイカーズ]の相手は魔法使いが一人、剣士が三人にアサシンが一人の五人のパーティだ。


 両パーティが舞台に上がり、試合が始まった。


 試合が始まってすぐに、両パーティの魔法使いが詠唱を始める。


 [ブレイカーズ]は予選の時と同じで魔法使いが、剣士に強化の魔法を使用する。俺が使用している[刹]の魔法とは違って、物理耐性や魔法耐性の強化だ。


 相手のパーティは剣士の二人が魔法使いを守り、剣士とアサシンが徐々に距離を詰めていく。


 人数では[ブレイカーズ]よりも多いので役割分担がしやすい。


 だが、[ブレイカーズ]の剣士は一人で二人を相手にして、余裕で対応する。


 魔法使いの強化の魔法によって、攻撃のダメージがなかなか通らない。


 [ブレイカーズ]の武闘家は単独で相手の魔法使いに攻撃をしようとするが、魔法使いを守る剣士の二人によって阻まれる。


 両パーティ共に極大魔法を詠唱して、一気に倒し切るつもりだ。


 相手の魔法使いの詠唱が終わった。


「極大魔法・[ホーリーブラスト]!」


 魔法陣から[聖]属性の、光り輝くレーザーのようなものが[ブレイカーズ]の剣士に直撃した。


 魔法耐性で強化されているがさすがに死んだと思ったが、剣士の秘伝の技、[完全防御]を使用して無傷だった。


 [ブレイカーズ]の魔法使いの二人も詠唱が終わった。


 相手の剣士とアサシンは魔法使いを守る為にパーティメンバーの元に戻った。


「極大魔法・[シャイニングサン]


「極大魔法・[ダークムーン]


 [聖]と[闇]の極大魔法の魔法陣からレーザーが雨のように降り注いだ。


 相手の魔法使いは魔法障壁を張り、剣士もシールドでガードをするも絶大な威力により、パーティは壊滅した。


 [ブレイカーズ]は圧倒的な強さでトーナメント初戦を突破した。


 流石は前年度の優勝パーティだ。

 魔法、二発でパーティを壊滅しやがった。個々の力だけじゃなくて結束力もかなりのものだ。


 勝利した後も顔色一つ変えず、すぐに舞台から降りた。


 そして、初戦の全てが終わり、残りは六組のパーティのみとなった。


 恐らくだが、決勝戦は[ブレイカーズ]と戦うことになるだろう。他のパーティとは比べ物にならないほど強い。


 

 俺は二試合目も危なげなく突破し、[ブレイカーズ]も難無く突破した。


 二試合目の最終戦も終わって、残りは俺を入れて三組のパーティになった。


 トーナメント戦なら一枠足りないじゃないか。


 と思っていたが、もう一枠は運営が用意した魔物化した動物のようだ。


 前年度は魔物化した虎が二頭だったみたいだ。今年は魔物化したライオンが相手になった。


 俺は魔物化したライオンと戦う組み合わせになった。

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