第12話

 ウルホルス街に入れたことだし後日に開催される、コロシアム闘技場の参加受付を済ませておこう。


 受付は街の中心部にある、闘技場の入り口でされている。受付には長蛇の列ができていた。


 一時間程、並んでようやく俺の番がきた。


「登録名と職業と何人での参加なのかを記入して下さい」


 登録名ってことは本名は出さない方がいいよな。


えっと……登録名がエリーで職業が武闘家、人数が一人だな。


「登録名がエリーさんで職業が武闘家で一人で参加で間違いないでしょうか?」


「はい、合っています」


 エリーというのは苗字の頭文字から取り付けただけで、大して意味はない。


「では、エリーさんの番号は216ですのでお忘れのない様お願いします。」


 一人の参加は珍しいと思っていたがそうでもなかった。パーティメンバーを気にせずに強力な魔法が使えるからみたいだ。


 受付を終えて、後は寝る場所を探すだけだ。普通なら宿でいいんだが、俺には一切お金がない。


 野宿するのは慣れているし一旦ウルホルス街を出て、街の近くにある森を拠点にしよう。


 本当は宿に泊まりたいがお金がないので仕方がない。


 試合は明日の朝から始まるので少しだけ修行をして、食事をして睡眠を取ることにしよう。


 コロシアム闘技場は毎年、600人程集まる。三つのグループに分けて予選が行われる。


 200人が一つの舞台で戦い、残った四パーティが予選を突破する。相手を殺しても失格にはならない。


 負けは死ぬか自らギブアップをするかのどちらかだ。毎年、死人は50人程出ているらしい。


 そして予選を突破した16チームが、トーナメント形式でぶつかり合う。


 各地から己に自信がある奴らが集まるんだ。魔法使いや剣士達に、武闘家は強いってことを証明してやる。


 俺は森が静かですんなりと眠りについた。葉っぱが風で揺れる音だけが聞こえていた。


 空が少しずつ明るくなっていた。


 俺は、修行が身体に染み付いているので朝早くから目が覚めてしまう。


 起き上がり、朝ごはんを軽く食べてからコロシアム闘技場の開催時間まで、修行をする。


 俺の番号は216番だから、二試合目からだな。


 決して負ける訳にいかないので、最初から全力でいく。

 常に[四刹三唱]状態でいることにする。


 そしてコロシアム闘技場が開催された。


 闘技場の観戦客だけでなく、闘技場の周りには食べ物の屋台などがあり、人で溢れていた。


 早速、番号が1〜200番までの人達Aグループの戦いが始まった。


 ほぼ全てのパーティに魔法使いがいて、その魔法使いを守る様な陣形が主流のようだった。


 魔法使いがいないパーティは早々に脱落していく。


 殆どが魔法使いが攻撃して、それを魔法使いの障壁で防ぐ。


 あっという間に残り五パーティになり、一つのパーティが降参してAグループが終了した。

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