003. 何か紫のオーラが出てる漆黒の扉

『ピロリッ、ガチャッ、スタートッ!!』

『ピロリッ、ガチャッ、スタートッ!!』

『ピロリッ、ガチャッ、スタートッ!!』


 ほんの少しずつタイミングのズレた電子音声が辺りに鳴り響く。

 ていうかこれ、音とか周囲に普通に聞こえるんだな。ガチャ1日1回無料は僕ら転移者だけが与えられた女神の加護サービスらしいから、一般人はそうそうガチャを回すこともないだろう。

 毎日ガチャを回しているのを知られたら、相当な金持ちだと思われて、良くて強盗殺人、悪ければ……まぁ何か色々あるんじゃないかな。人前ではガチャは回さないように注意しよう。


 ガチャ演出は画面内に現れた扉の絵が開く映像で、僕のは安っぽい木の扉。

 隣のヤンキーのは……うわ、何か紫のオーラが出てる漆黒の扉だ。絶対強いでしょこれ。


「おおっ!? これは金扉とか虹色扉とかの上のランクじゃねーか!?」


 さっきから思ってたけど、こいつヤンキーのくせに割とスマホゲームやってるっぽいな。

 そもそもこいつがヤンキーかどうかも怪しい。髪が明るい茶色で、学生服を派手に着崩しているだけのチャラ男の可能性もある。

 それ以前に、不良のこと「ヤンキー」って言うやつもマンガでしか見たことないな。


 他の人達も、何だかみんなザワザワしてる。

 全員レア以上っぽい雰囲気だし、いい感じのスキルやアイテムが出てたら、せめて人里までは守ってもらえると嬉しい。


 初回は飛ばせないらしいガチャ演出が終わり、画面に結果はが表示され――


 ドパンッ


「なっ!?」


 横合いから何かを浴びせられ、咄嗟に振り向くと、


 ドンッ

 グシャッ

 ブシャッ


 辺りから破裂音、爆発音、何かが潰れる音。


 何かが、ってことは無いな。隣の、ヤンキーのいた・・方を見ればわかる。




 そこには、派手に着崩された学生服の、首から上が消し飛んだ死体が立っていたし――数瞬の後に、膝から崩れ落ちて倒れた。

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