第9話 閑話1 冒険者クラスのリーダー
よう。俺はギルド学院冒険者クラスのマイト。ちょっとリザードマンが入っている人間寄りの獣人だ。実力・知名度ともにクラスではリーダー的存在だ。すでに俺達のパーティーはFさらEクラスへ昇格しているしな。全く持って優秀で前途洋々なパーティーだぜ。…アイツらを除けば。
アイツら…『魔王の眷属』。学院が始まってたった1ヶ月でDランクに昇格しやがった反則パーティーだ。
女三人のくせにどんな裏ワザを使ったんだ⁈ 恐らくメンバーの一人が龍族だからひたすらパワーで殲滅したに違いない。冒険者ってそうじゃねえんだよ。もっとロマンがあんだよ。
まったくついてねぇ。なんで同じ学年なんだよ。アイツらがいるせいでクラス全員が【最優秀生徒】を早々と諦めた。今は卒業特典を得る為にのほほんと学院生活を送る者が半分、冒険者スキルを磨くのに懸命に学んでいる者が半分だ。俺らは後者だな。
それよりアイツ…『魔王の眷属』のリーダーのアイツだ。エルフのくせにめっちゃナイスバディな女…ユートだ。
アイツを最初に見たのは魔王都の冒険者ギルド。俺は入学までの間誰よりもアドバンテージを稼ぐ為に先輩冒険者の下働きをやっていた。するとアイツが来た。よりによって超有名パーティー『砂塵の輩』にくっついていた。あの連中と軽口を叩いていやがる。しかも一人称が『俺』ですよ。『俺っ子』ですよ。なんだそのキャラづけ? 大方あの豊満な身体だ、色仕掛けで落としたんだろう、ふざけやがって。と思うと同時に俺と同じ考えの奴がいたか、しかも上等のパーティー捕まえやがって、と嫉妬した。
学院に入ってからもアイツは超目立っていた。いつの間にか強力な龍とパーティーを組んでた。本当に要領のいい女だ。…目が離せない。正直パーティーメンバーに誘おうかと思っていたがあんないやらしい身体をした女がパーティーにいたら男子メンバーの理性が保たないと同室の奴らに反対された。
実力テストの時に全属性の魔法を使いこなし学院の壁を吹き飛ばしたのを見て教師が呟いた。
「まさか…ハイエルフか⁈ こんな初心者が集まる所にハイエルフが…」
ハイエルフ。世界に数人しかいないと言われる幻の種族。有名なのはSクラス冒険者であり【魔王国十傑】である【破壊魔グリュエラ】である。アイツ、ユートも間違いなく強かった。…パーティーに誘えばよかったと猛烈に後悔したよ。
クラスメイトと打ち解けて来ると何となくわかってきた。アイツめっちゃ幼女好きだ。年下の幼い系の女の子にとにかくデレデレな笑顔を見せる。男子相手のクールな表情とは雲泥の差だ。同じパーティーの龍っ子リィカに何かしら食い物を与えてはニマニマしてる。あれは母性本能…とはちょっと違う気がする。たまによだれを垂らしてパーティーメンバーを見てる。
たまにクラスに手作りおやつを差し入れしたり、クラスの女子に使い勝手の良いポシェットやアクセサリーなどの小物を作って配ってたりする。ああ見えてとても女子スキルが高い。…めっちゃ美味いんだ。アイツの作るブラウニー。
ここまで来たらもう俺は隠さない。ユートが好きだ。嫁にしたい。俺の為に毎日食事を作ってくれたら…あの素晴らしい身体を毎晩好きに弄り倒せるならば…もう死んでもいいとまで思う。
ああ…くっそエロいエルフめ。エロルフめ。
だがアイツはある日クラスメイトとの会話で
「本当ユートの作るお菓子美味しい‼︎料理の腕もバツグンだってレンやリィカも自慢してたわよ‼︎ めっちゃいいお嫁さんになるね‼︎」
「俺は嫁を貰う側だから」
「「「「きゃ〜♡」」」
とイケメンな返しでクラスの女子の歓声が上がる。
くっそ〜俺が嫁になりてえ。
こうしてクラスのリーダーは今日も悶々とした学院生活を送るのだ。
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