TUEEEEEE勇者

なんよ~

強すぎる勇者

 どこにでもいる青年・ハヤタは、ある日神様から圧倒的チートを授かる。




女神曰く、




「これの力を以ってして、魔王に圧政に苦しめられる民を救い、世界に平穏をもたらしなさい。」




青年・ハヤタはこれを了承し、異世界へと旅立つ。




こうして、異世界に降り立ったハヤタは、その圧倒的チート能力を確かめる。




剣を振れば、たちまち一つの山がなくなるほどの強さ、どんな攻撃も通さない強靭な肉体、もはや敵なしの強さであった。




そうして、各地でその圧倒的チートで、魔王軍幹部をねじ伏せていく。




幹部戦も一撃で敵をなぎ払い、ハヤタ自身もその呆気なさに驚く。敵が弱すぎるか、いや、俺のチートが強すぎるんだと気付く。




最初はその力に快感を覚えていたが、次第に歯ごたえがなさすぎて、飽きてくる。だが、この異世界の民のために、頑張って戦っていく。




圧倒的チートを誇るハヤタは、魔王軍に苦しめられる民の希望の星となり、次第にハヤタの名声は、異世界各地に広がり、反魔王連合が結成される。




その旗頭はもちろん、ハヤタ!!




魔王打倒の噂を聞きつけて、次第にハヤタのまわりに仲間が集まってくる。その数は段々と多くなり、一大勢力に成長する。




そして、どんどんと魔王陣営を追い詰めていく。そして、ついに魔王の城へと突入する。




「魔王!! ついに、追い詰めたぞ!! その命、頂戴する!! 」




そう魔王に対して、啖呵を切る。どうせ、今回も楽勝に勝てるだろう。ハヤタは心の中でそう思っていた。




だが、魔王はそんなハヤタの気持ちを見透かすが如く、




「勇者ハヤタよ。本気で来なければ、貴様の命はないぞ・・・。」




そう呟く・・・。次の瞬間、ハヤタに激痛が走る。一瞬のことに理解が追いつかず、ぶっ飛ばされる。そうして、やっと理解する。




「この魔王・・・、強い。」




だが、その事実は、久方ぶりにハヤタの心を震わす。自分と同等の強さを前にして、自分の脳内にアドレナリンが滾るのを感じる!!




魔王は強かった!! 自分と互角それ以上の強さを誇った。だが、それと同時に今までに味わったことのない快感を得る。戦いがこんなに面白いなんて!! その気持ちが溢れ出る。




愉快・・・愉快・・・愉快・愉快・愉快愉快愉快愉快、快快快快快快快快快快快快快快快快快快快快快快快快快快快快快快快快快快快快快快快快快快快快快快快快快快快




だが、その束の間の一時は、魔王の死によって終わる。




こうして、世界は魔王の支配から脱却して、勇者の統治の元、平和に暮らすかに思われた・・・。




 しかし、ここから苦悩の日々が始まる。




初めは、仲間の諸侯と共に、統治に心血注いでいたが次第にその者たちが勇者・ハヤタの威光を振りかざし、各地で横暴を働く様になる。




ハヤタはこれに激怒し、絶望する。苦楽を共にした仲間が今度は敵に周るのかと、だが、民のためこれを鎮圧し、見せしめのために処刑する。




だが、これにかつての仲間は反発し、各地で打倒ハヤタを掲げる。それに民も同調する。あんなに心血注いだ統治も反乱により、台無しになる。




乱を鎮圧するごとに彼の心はすり減っていく。もう何も信じられなくなる。そんな彼の唯一の心の癒しは、戦いにあった。




魔王との一戦のような戦いを求めて、前線に立って戦うが、圧倒的力の前に誰も敵わなかった。彼は思った。このまま、私は満たされず、生きていくのか・・・。




その時、彼は閃く。そうだ、また女神さまが私の様な者を送ってくだされば、心が満たされる。然らば、私は魔王となれば良いではないかと、




そうして、彼は勇者が降り立つその時まで、魔王として君臨するのであった。

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