侵攻5日目

09:00

B市、正午から埋立地で行なわれるロックフェスティバルに対し、「戦時下」を理由に中止命令を出すが主催者が反発、一部アーティストも主催者に賛同し客を入れ始める。


09:30

ロックフェスを取材に来ていたアメリカNMTVクルー、B市当局に機材を没収され怒り狂う。それを見ていたA市ゲリラの一員でもある主催者の一人が、実況生中継を条件に機材の提供を申し出る。


09:40

NMTVクルーがアメリカNMTV本局と国際電話で連絡を取る。

「Freedom!」

連発。


09:50

B市内A市ゲリラ本部、ロックフェスゲリラからの要請を受け、家庭用デジタルビデオカメラとピリジウムによる中継機材、製作開始。


10:00

A漁協、コンピューター解析によるワイヤー製の網を完成させる。


10:10

NMTV本局、「ロックな事態」と判断。テロップで一報、と同時に特番の編成開始。局内では「Freedom!」が飛び交う。

      

11:00

状況を知らずに海外から来た者も含め、ロックフェス会場は満杯。10万人を動員。


11:25

A市ゲリラが作った中継機材がNMTVクルーに渡る。衛星電話の性能上、秒間数フレームの伝送が限界だが、スタッフ一同大喜び。尚、長時間中継用に自動車用バッテリーと電源アダプターも用意される。


11:30

B市の職員と自衛隊から成る部隊、ロックフェス阻止のため会場に到着、会場を包囲。部隊と客、双方に異様な雰囲気が漂う。


11:35

NMTV中継回線、繋がる。先行していた特番に実況映像と音声が入る。


11:40

NMTVにより事態を知ったNCNN、A市側からの中継を決定。


11:50

A市住宅地防衛部隊、住民宅で昼食を囲み、ケーブルTVでロックフェスを観戦。当然NMTV。


11:55

B市長より主催者に対し最後通告。

「フェスティバルを強行すれば武力により強制排除する」

これがPAにより会場に実況中継され、客のテンションが上がる。


11:58

アメリカの無名ロックトリオがステージに登場。客に催涙弾が向けられる。


12:00

バンドがヘヴィーなギターで「君が代」を演奏し、

「Love & Peace!」

「Go West!」

を連呼。これが客を巻き込み、全員が叫びながらA市へ向け行進を始める。B市部隊は10万人の踏み鳴らす地響きの前に、為すすべもなく退散。


12:07

A市住宅地部隊、住民と共に祝杯をあげる。


12:20

行進は埋立地から国道へ出る。この様子はゲリラによりA市へ報告されるが、既にA市本部はNMTVより状況を把握。ゲリラに対し連続映像を送信できる機材をNMTVに提供するよう要請する。これに対し、ゲリラ側から回線増強用ピリジウムの供給要請。


12:30

A市長、記者会見。

「市役所東側のビーチをロックフェスに提供する」


12:40

A市民生局、ロックフェスのためのステージ、仮設トイレ、PA設備、食料等の手配に入る。


13:00

アメリカ第百七艦隊、B市沖に到着。艦隊司令官はヘリで市役所へ。


13:10

NCNN日本支局、A市役所に到着。


13:20

米艦隊司令官、B市作戦本部に到着。以後、自分が指揮を執ると言い出す。


13:25

NCNN日本支局、中継開始。数分後、米3大ネットワークの視聴率0パーセントに。


13:30

A漁協潜水艦捕獲艦隊、出撃準備完了。


13:35

B市長、米司令官に、お茶を出し、お茶を濁す。


14:00

全国の地方都市による緊急応援物資がA市に続々と到着。再び市役所駐車場が埋まる。


14:20

ゲリラ宅に、クール卓球便で「ナマモノ」と偽装されたピリジウム20台が配達される。何故か毛蟹も同梱。ゲリラ、有り難く頂戴する。


14:30

アメリカ3大ネットワークより、相次いでB市長に取材の申し入れ。市長は速答を避けるが、本部内では「積極利用」の声、高まる。


15:00

B市作戦本部、NMTVの中継阻止を指示。しかし中継クルーは10万人に囲まれており、現場は打つ手が無い。


15:30

B市長、3大ネットワークの共同インタビューに応じ、これまでの経過を都合の良いように出鱈目に話す。頭の無い各ネット、そのまま流す。


15:40

B市長のインタビュー続く。調子良く喋り続け、勢い余ったB市長、3ネットに市内の取材を許可。


15:45

3ネットのB市長インタビューを見た日本のマスコミ激怒。NCNNと強力にタッグを組む。


16:00

A市ゲリラがピリジウム数台を組み合わせた高性能中継機を完成。


16:20

ゲリラの中継機が行進の最後部に到着。先に進めなくなったゲリラは、

「NMTVに渡せ!」

と叫び、機材を行進の中に投げ入れる。


16:22

「NMTV!」を合い言葉にゲリラの機材は群衆の頭の上を進んでいく。


16:30

NMTVクルーに機材が渡る。鮮明な映像で中継を開始するがクルーは興奮、

「We've Got The Power!」

で音声は占められる。


17:00

膠着状態に米司令官、苛立つ。


17:30

B市長、米司令官のために芸者を呼ぶ。


18:00

B市作戦本部、日米入り乱れて暫し宴会。


18:30

ロックフェス行進、国道上市境に到達。B市検問突破。A市民に歓迎される。NMTVは、ここで通常の機材を受け取る。


18:40

混乱の中、A市シロネコ偵察部隊、デリバリーカー十数台に分乗し、数分間隔で出発。B市偵察センター見過ごす。


19:00

A市民生局員と市民有志によるロックフェス会場完成。行進を誘導する。NMTVスタッフ、コンサート中継準備。


19:10

会場正面に設置されたスクリーンに各国の大物アーティストが続々と登場。全員が3日以内にフェステイバルに出演すると明言。会場、大いに湧く。


19:30

取り敢えず、その場にいるアーティストによるジャムセッションでフェスティバルが開幕。ビール等、各飲料メーカー、フードメーカーのトラックが横付けされ、ただで観客に振る舞われる。


19:40

A市住宅地部隊、住民が全てフェスティバルに向ったため寂しい夕食となる


20:00

ロックフェスステージでA市長挨拶。スタンディングオベーションで迎えられる。


21:30

シロネコ偵察部隊、B/D市境付近に到着。「夜間に大量の卓球便のデリバリーカーが通ると怪しまれる」と危惧し、検問越えは翌日に持ち越す。

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