どうやら『戦争』が始まるようです...


目に映り耳を通る全てが初めての体験だったこの数日。私は人生の転換期にいると思う。高校生になって、親元を離れて寮生活になり、新しい学校での新しい友達。


毎朝妹が潜り込んでくることの無いベットから眠気に抗いつつ這い出て、食堂で皆と朝ごはんを食べた後に学校へ登校する。


現国や数学、化学、現社といった中学校の頃よりもずっと進んだ内容の授業はとても新鮮で、難しい部分も多々あるが何よりも面白かった。


特に体育では奏と祈織、詩音の体操着姿が"良かった"とだけ言っておこうと思う。…良い匂いがしそうだ。


そんな楽しい毎日と少し悶々とした欲求があるが、至って普通な…これぞ高校生といった生活を送っている。


しいて悩みをあげるとすれば、毎晩妹から来るLINEや電話が少し鬱陶しいくらいだろうか。本人に言ったら余計に連絡が増えそうだから言えないが。


そんな数日を過ごしていると───


「皆さん、戦争・・が始まりますよ!!」


バンッと大きな音を立てて、朝のホームルームの時間にゆかりんが勢い良く教室へ入ってきた。


私含めクラスの全員がぽかんとしている。


数秒間の沈黙を破ったのは、もちろん彼女な訳で…


「クラスの親睦を深めるため毎年この頃に行われている、学園主催のイベントが始まります!」


学校説明会や中学生向けのパンフレットでその存在自体は知っていた。けれども、こうして自分達が当事者になると案外「あぁ、そんなのもあったな」なんて思ってみたり。


何もかもが目新しい生活の中にいれば入学前に楽しみにしていたことも、それまでの楽しかったことや嬉しかったことで意外と塗りつぶせてしまうのは新しい発見だった。


……そんなことはさておいて、私はゆかりんの話に耳を傾ける。


「毎年、数日間かけて行われるスポーツ大会やキャンプ、自主制作短編映画、ゲーム大会など…その年によって開催される内容が変わるのが目玉ですが、今年はなんと──隠れ鬼ごっこに決まりました!」


隠れ鬼ごっこ。その響きは子供の頃をふと思い出させた。


奏と出会い、一緒になって公園を走り回った記憶。あの頃とは色々変わっちゃった部分もあるけど、きっと奏は追うがわでも追われる側でも勝つんだろうな。


そんな確信めいたものが私にはあった。


「学園の敷地全てがフィールドとなり、毎日朝9時から夕方6時まで、お昼休憩1時間の日数は3日。様々なアイテムが散りばめられていたり、本イベント期間中のみ開放される通路などもあるので全力で楽しんでください!そしてそして…現在はまだ明確な条件が決められていませんが、個人成績優秀者並びに成績優秀クラスにはご褒美もあるので頑張ってくださいね」


それは…確かに戦争と言えるかもしれない。


隠れきるか、見つかっても走って逃げ切ることさえ出来れば……まさに『速い・・者勝ち』だ。


「詳しいルールは後日発表となるので、続報を待て!です!」


─────────────────────


ということで大変長らく更新をお待たせしてしまいましたが『隠れ鬼ごっこイベント』の開催です。


皆はどこに隠れるんでしょうかね?


例えばロッカーに誰かと2人きり……狭い密室、上がる温度、滴る汗、意図しなくても触れる肌、直接感じる相手の吐息…ふふ。


相手の足の間に自分の片足…というか、膝がある。みたいなシチュ好きなんですけど分かってくれる人いますかね?ロッカーに隠れるような描写がある作品では割とあるあるですが、いとおかしです。

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なんで私がヒロインに告白されてるの!? 音夢 @nemuqun

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