どんな夢でも貴方となら:4
「気持ち悪い」
「……え?」
世界が音も時間も止めてしまったかの様に感じた。
可愛いあの子の口からこんなにも酷い言葉が出るなんて予想出来なかったし、"普通"のはずの私が気持ち悪いと言われるとは微塵も思っていなかったのだ。
「女の子が女の子を好きなんて普通じゃないよ。それに私好きな男の子いるし、女の子に告白されるとかマジありえない。もう話しかけないで」
振られた。いや、それはいい。告白したからといって必ずしも全ての恋が実るとは限らないのだから。それぐらい分かっている。
振られたとしても、仕方がない。
でも、そんな事がどうでも良くなるくらいに私は悲しかった。彼女からそんな言葉の刃を心臓に突き立てられて、あまつさえ二度と関わるなと言外に伝えられた事が悲しかったのだ。
次の日から学校は私にとって地獄と化した。
好きになってしまった子がまさにクラスの中心、学校のアイドルといった子だったのもあり、話が広まるのも一瞬。
通学路を歩けば後ろ指をさされ、学校の敷地に足を踏み入れればひそひそと私に向ける『何を言っているかは分からないけど、何かを言っている声』が無数に聞こえてくる。
教室に入れば彼女を中心としたグループから爪弾きにされ、嗤われ、大小様々な嫌がらせを受けた。
男子からはこの年代にありがちな揶揄いを受けたし、女よりも男の方がいいぜ?なんて下世話な誘いも受けた。
「あぁ……そっか、やっぱり、そうなんだ」
私は2度目の気づきを得た。
それは至極当たり前の事で、本当に普通の事。
男の子は女の子が好きだし、女の子は男の子が好き。そうじゃない人は少数である。
それからの私は殻に閉じこもった。中学校での余りある残り時間は全て自分の成長に費やした。こんなくだらない
誰よりも努力して誰よりも普通以上であろう。
その決心の結果、私は出身中学校からは誰も進学できないような進学校へ入学出来ることになった。
これで私は自分の価値を他人に委ねること無く、私自身でその意味と価値を見つけて見せた。
でも……神様は残酷だ。
「み、三日月 春乃です!好きな物は恋愛物の作品で、今年度の抱負は勉強とか運動とか、れ…恋愛とか色々頑張ることです。よろしくお願いしまひゅ!」
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