「黒魔導士」の実態

 この国、ベルファーレンは英雄と呼ばれる5人の冒険者が国を興した事もあり、冒険者が盛んに活躍する国である。

 しかし、だからと言って誰もが冒険者になれる訳ではない。冒険者になるには、冒険者の適正職業になれる素養がある者しか冒険者になれない。その冒険者職業にも様々な職業がある。


 剣を扱うのに優れた職業の「剣士」。


 魔法のエキスパートである職業の「魔道士」


 弓矢を扱うのに優れた職業の「弓使い」


戦斧や重剣などの大型武器を扱う職業の「重戦士」


回復魔法のエキスパートである職業の「白魔道士」


 など他にも様々な職業がある。そして、その職業にも強さのランクのようなものがあり、リーフがなれた「黒魔導士」は冒険者適正職業の中で1番弱いとされる職業なのである。

 というのも、「黒魔導士」は魔物を倒した時に貰えるポイントでレベルを上げても、あまりステータスは上がらず、同じようにポイントを使い職業のレベルを上げる事で新たな技を覚えたり出来るが、技はそれ相応のステータスを有していないと使えないので、レベルを上げてもステータスが上がりにくい「黒魔導士」では新しい技を使う事が全く出来ないのである。

 おまけに、「黒魔導士」の使える魔法は、相手の体力を吸収する「ドレイン」や、相手のステータスを下げたり状態異常をかける魔法などばかりで、攻撃系の魔法がほとんど存在していない。故に、「黒魔導士」をパーティーに入れようと思う者はいない。


 リーフがこの事実を知った時には愕然とした。が、リーフにはこの選択肢しかないと思っていた。故に、リーフは自分をパーティーに入れてくれる人を探した。自分1人で冒険者をやるなんて「黒魔導士」であるリーフには不可能だったから……

 誰かに声をかけるのは苦手なリーフであったが、それでも必死でいろんな人に声をかけたが、当然ながら誰からも相手にされる事はなかった。リーフはもう色々と諦めかけたが……


「そんなに困ってるなら俺のパーティーに入れてやるよ」


と、リーフに声をかけてきたのは、若手の中でも期待のホープともてはやされている「剣士」のオリバーだった。そんな若手の注目株のオリバーに声をかけてもらい、リーフは喜んで首を縦に振った。



 この誘いを受けた事で、リーフがあのような目にあうとも知らずに……

 

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