第10話 肥満

 最近、身体の調子がおかしい気がする。いや、病気ではないと思うんだけれど、何か、動きづらいんだよね。ん~、どうしてなんだろ?


「ただいまー」


 あ、彼女が帰ってきた。


「やっぱり、ダイエット必要かなー?」


 え?そんなことないよ。全然太ってないし、いつも素敵で、可愛いよ。

 だなんて心の中で言ってみても、彼女には伝わらないのは知っているけれど。

 でも、実際の話、彼女は太ってはいない。男性と女性では理想の体型は全く違うらしい。ダイエットが必要だと思うラインも。

 それでも、彼女はダイエットが必要だとは全く思わない。おそらく、他の女性が見ても同じように思うはずだ。


「何でこんなに丸くなっちゃったんだろー?」


 だから、太ってないから安心していいよ。

 でも、もし、太っても俺はそれだけで彼女を嫌いにはならないだろうな、だなんて思ってしまった。


「そりゃぁ、あんたがおやつあげすぎだからでしょ」


 ……え?お母様?今、何て言いました?おやつをあげすぎ?もしかして、俺の事?

 確かに、最近は身体が重く感じることはある。でも、いや、まさか……。生前、人であるときは太ったことはなかった。それが、今?

 彼女を見上げると、悩んでいる様子だった。いつもの素敵な笑顔ではなく。


 俺は、彼女には笑顔でいてほしいと思っている。そして、今は俺のせいでその笑顔が消えている。

 ならば、俺のすべき事はただ1つ。ダイエットだ。

 彼女からのおやつは断ると言う選択肢は俺にはない。つまり、これからはもっと運動をして、摂取した以上のカロリーを消費しなくては!

 よし、明日から毎日、ゲージから出して貰っているときはジョギングだ!

 あ、彼女がいるときは別で。だって、彼女に愛でてもらわないといけないからね。

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ペット転生~失恋後に事故で即死してしまったら、何故か振られた相手のペットに生まれ変わってしまったけれど、どうしたらいい?~ 星成和貴 @Hoshinari

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