第7話 友達

 彼女が友達を連れてきた。彼氏、じゃなくて本当によかった。


「あ、ウサギ飼ってるんだ。可愛い。撫でてもいい?」


「いいよー。うちの子、可愛いだろー」


 彼女が俺を自慢してくれてる!だったら、俺も思いっきり愛想を振り撒いて自慢のウサギになってあげないと。

 そんな事を思っていたら、彼女が複雑そうな表情をし始めた。


「いいなー。わたしにはあんまり、甘えてきてくれないんだよね」


「え?そうなの?わたしの方が好きなのかな?わたしの家に来る?」


 それが本気ではないことは分かってはいるけれど、彼女と離れ離れにはなりたくなくて、俺はつい、友達から逃げ出し、彼女の元へと走ってしまった。

 そんな俺の様子に彼女も友達も笑ってくれたけれど、俺の心中は穏やかではなかった。

 彼女が俺を、と言うか、愛するウサギを手放すとは考えられないけれど、もし、そんな日が来てしまったら……。もう、想像するだけで辛い。胸が苦しい。耐えられない。

 だから、その日はずっと、彼女に甘えていた。俺も貴女のことが大好きです、そう身体中で表現するために。

 彼女は最初は突然のことに驚いていたけれど、すぐに俺に愛情を注いでくれた。たくさんの、返しきれないほどの愛情を。

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