違法実験

終電の時間はとっくに過ぎているので、

今日は実家で過ごす。だがここに居ても暇だ。


何か面白いことは無いか......ハッ!


ふと閃く。


原子操作で地下室を作って、何か悪い事をしよう。

思い立ったらすぐ行動。


「原子操作、地下へと続く穴を開けろ」


言葉と共に、コンクリートの床に幾何学的な穴が開く。

深さは5メートル、イメージ通りだ。


「原子操作、はしごを制作」


床に転がっていた鉄パイプが曲がり、梯子を形作る。


穴に引っ掛けたら通路の完成だ。次行こう。


「原子操作、地下室を掘りぬけ」


直方体の地下空間を形成する。補強用の柱は4本。


ライトを当て、掘り抜けていることを確認。よし。



床や壁の凸凹を均し、照明をポン付けしたら完成。

少々暗いが、問題はない。



さあ次は何をしようか?


ここなら誰も来ない。完全な密閉空間だ。


少々危険な原子操作術の実験でもしようか。


ちょっぴり違法な事も出来る。




「原子操作、RDX高性能爆薬を生成」


極微量の爆発物を合成、爆破実験を行う。




火の着いた木の棒をそれに近づけて...爆破。



ドゴオオオオンッ!!


耳をつんざくような轟音が轟く。


地下空間なので爆音はかなり軽減され、

地上では殆ど聞こえてないだろう。


仮に聞こえてても...苦情は受け付けません。



とにかく、爆薬も作れることが分かった。

これなら一気に作れるものが増える。


手榴弾でも機関銃でも、武器一般は何でも作れる筈だ。

使う気は無いけど。念の為に、だ。



取り敢えずピストルを一丁。

有名どころなら検索すれば図面ぐらいは出てくるはず。



[G18 CAD]で検索すると、詳細な部品の寸法データが出てきた。ほらやっぱり。



パソコンを取りに実家に戻る。



「母さんさっき変な音聞こえなかった?」


「音?どんな音かしら?」


「いや、何でもないよ」


防音はしっかりとされているみたいだ。


それは良いとして、取りあえずはパーツの整形をやろう。

ステンレスのパイプを幾らか頂戴してきたので、

その純度を高めてから整形する。


G18(グロック18)は法執行機関向けの特殊拳銃だ。

銃社会のアメリカでもこれは市販されていない。


そしてこの拳銃にはフルオートモードが存在する。

閉所での戦闘で非常に役に立つだろう。


使用弾薬は9×19mmパラべロム弾。

装填数は18発と、弾倉の容量も大きい。


弾は..真鍮と鉛が必要だ。

鉛は家の釣具からパクるとして、真鍮はねぇ...


ドアノブから分けてもらおう。








弾薬の試作品が完成した。本物そっくりだ。

拳銃も主要パーツは完成した。


どれも寸法通りに作ったから、ちゃんと動くはず。


「原子操作、銃を組み上げて」

 



パーツが宙に浮き、結合し始める。

ガチャガチャと音を立てて、1つの武器が完成する。


グロック18、フルメタルバージョンだ。

表面は黒色のスプレーで塗装、高級感を醸し出す。

銃身内部にはクロムメッキを。腐食対策だ。



弾倉に弾を込め、地下へと向かう。





壁に狙いを付け、引き金を引く。


ドオオオンッ!


反動で腕が押し返される。

壁には鉛弾がめり込んでいた。


つまみを回し、射撃モードを連発に切り替える。


発射。




ドドドドドッ!!


連続する爆音。

一秒もしない内に弾倉の弾をすべて吐き出した。


空薬莢の転がる音。硝煙の匂いが立ち込める。


凄まじい連射速度だ。腕が痺れる。

こりゃ発禁になるわ。危なすぎる。


反動が強過ぎたせいで、弾はかなりバラけていた。

内3発は天井に当たっている。


使いこなすには相当な訓練が必要だ。


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原子操作術で、来たるべき時に備えよう。 titanium138 @titanium138

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