第8話

 また風が吹く。今度は固い風。私の髪が乱れる。


 髪と髪の間に見える、私の顔に近付くユウスケの手。


 その綺麗な手で、私に何をするの?首を絞めるの?私を殺すの?


「綺麗な髪だな。」


 ユウスケは私の髪を整えた。


「ありがとう…。」


 ユウスケの目から離れられない。ずっと透き通る、その目に吸い込まれる。


 私はユウスケにキスをした。あたたかい、ユウスケの唇。その唇からも、しばらく離れられなかった。


 唇が離れた後のユウスケの目。どうしてそんなに切ない目をしてるの?


「お前は…目も綺麗だな…。」


 ユウスケも私にキスをした。そして私を抱き締めた。あたたかい唇、あたたかいユウスケ。


「お前は綺麗な人間だ。ずっと綺麗なままでいてくれ。死んでもいいなんて、もう言うな。」

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