第3話



 家に帰って、私は直ぐにベッドに倒れ込んだ。

 俯せのままカバンからスマホを取り出し、メールを確認する。友里さんからだ。



『そんなことないでしょう、梨里ちゃん。梨里ちゃんだってすぐに彼氏くらい出来るよ。なんだったら今度私の大学の見学にでも来る? もう知り合って 何ヶ月も経つし、そろそろ私も梨里ちゃんに会いたいなって思っていたところだし。まあ、梨里ちゃんと釣り合いのとれる男なんて、うちの大学にはいないけどねw』



 友里さん、やっぱり優しい。なんか、ちょっと涙が出そうになっちゃった。



「友里さんの大学……」



 私も友里さんには会いたい。物凄く会いたい。

 友里さん、私のイメージでは物凄く美人だと思う。温和でほんわかしてて、美人だけど可愛いみたいな。

 私みたいなちんちくりんとは違うんだろうな。私なんか、高校生なのに中学生に、酷いときは小学生に間違えられるくらいだもん。

 こんな私が会ってもいいのだろうか。でも、でも、会いたいし。物凄く会って話したいし。

 私はドキドキしながら返信を打った。



『私も友里さんに会いたいです。会って、色んなお話がしたいです! 今度、友里さんの都合さえ良ければ会ってもらえませんか? 来週だったら、いつでも大丈夫だと思います。私、来年は大学受験もあるので参考にしたいですし……というか、ただ単に友里さんに会いたいんです!』



 直球過ぎるかな。でも、全部本音だし。大学の参考にしたいって言うのも本当のことだし。

 友里さん、どんな人かな。私のこと見て、なんて言ってくれるかな。そうだ、新しい服とか買いに行こうかな。この前買ったスカートも着ていこうかな。

 大学だし、ちょっと大人っぽく見せた方が良いかな。でも、私見た目が子供っぽいからそういう格好は似合わないし。



「あーもう、どうしよー!」



 私は送信を押せないままベッドの上で足をジタバタさせた。

 本当に会って大丈夫かな。

 あ、別に友里さんのこと疑ってるとかじゃないよ。友里さんは絶対に良い人だもん。

 そうじゃなくてね、私自身が問題なのですよ。会って機嫌を損ねるようなことしちゃったらどうしようとか、そういうこと。

 私、そういう自覚とかないけど友達からは空気読めないとか天然とか失礼極まりないことをよく言われるんだよね。

 私、友里さんに嫌われたら相当落ち込むんですけど。サイトだって辞めちゃうよ。暫くはSNSとか出来ないよ。



「でも、会いたいもんね。大丈夫、だよね……?」



 ドキドキしながら、私は画面の送信ボタンにそっとタッチした。

 送信中の画面になり、数秒後に送信しましたと表示される。送っちゃった。お、送っちゃった。私の直球会いたいですメール!

 あああ、どうしよう。今すぐ書き直したい気分! もう遅いけど!

 友里さん、変な風に思わないかな。もし、これが友里さんじゃなくて異性の人とかだったら出逢い目的なんじゃないかって勘ぐられちゃうよ。

 私、これでも人見知りするタイプなんだから。出逢いとかそういうの、全然無縁な子なんだから!

 おかげで彼氏の一人も出来てないんだけどね。



「……もし、友里さんが男の人だったら」



 私、好きになりそうだな。

 なんて、ね。友里さんは女の人だし。もし、異性だったらの話だよ。もしも、例え話。

 友里さんなら、絶対にお姉ちゃんにしたいタイプだもんね。私の理想のお姉ちゃん。そういう人。

 まぁ、ある意味で好きなことに変わりはないのかな。うん。


 もし、本当に友里さんに会えるんだったらバレンタインにチョコとか作ろうかな。こう見えてお菓子作るのは得意なんだから。家庭的な女の子はポイント高いって友達に聞いたから、料理とかそういうの得意になれるように頑張ったもんね。


 うん、そうしよう。今まで相談とか乗ってもらったお礼。

 友里さんにチョコ作ろう。丹精込めて、美味しいの作ろう。

 そうとなったら、ちょっと友達に相談しようかな。どんなのが喜ばれるか、悔しいけど彼氏が出来たって言ってたあの裏切り者に。相手が大学生って言ってたし、丁度いいでしょ。




 友里さん、喜んでくれるかなぁ。






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