We are……

長月瓦礫

We are ……

「あー、まー、そーちゃったかー」


私は携帯を両手に持ちながら、頭をがくりと落とす。

新型ウイルスの影響で楽しみにしていたアーティストのライブが中止になってしまった。


感染を防ぐための対策とはいえ、ショックを受ける自分がいた。

初参戦だっただけに、ダメージもなおさらだ。


私が心待ちにしていた彼らをなんと表現すればいいのだろう。


平成最後ののたまアリアーティスト?

それとも、超有名なゲーム実況者グループ?

あるいは、般若と宇宙人とサングラスが女装する集団?


この文章だけで彼らはとてもじゃないけど、表現できない。

それだけの偉業を成し遂げ、どんな言葉でも語り尽くせないほどに魅力的で、どこまでも厨二病なのが彼らだ。


ライブが中止になったことで、youtubeで謝罪動画も上がった。


誠意を込めて私たちに謝罪したサングラス。

必ずリベンジをすると誓った堕天使。

静かな怒りを露わにしていた鬼。

顔は見えずともどこか悲しげだった宇宙人。


その動画を見て、はっきりと分かった。

ライブ公演を彼らは私たち以上に楽しみにしていた。私たち以上に心が痛んでいるはずだ。


暗いムードに包まれる中、3/4 19:00に無観客という形で、ライブが配信されることが決まった。


そのことが知らされるや否や、ライブ配信される予定の画面には、次々とスパチャが投げられた。


彼らに因んだ数字やライブのドリンク代と称したもの、金額は様々でも彼らに対する思いはみんな同じだった。


配信はまだ先だというのに、大盛り上がりして、投げ銭も7桁を突破した。

SNSでも話題となり、『スパチャ1000万』がランキング入りしたのは言うまでもない。


彼らと同じように、ゲーム実況を投稿している配信者や漫画家、彼らのことを初めて知ったという人まで、その勢いは止まることを知らない。


まさに、最高のお祭り状態だった。

いや、彼らの言葉を使うなら、パーティと言えばいいのか?


まあ、何であれ大盛り上がりなのはまちがいない。

私も微力ではあるものの、資金援助した。


「一度は離れたけど、もう1度来たよ!」

「他の沼から来たよ!」

「微力ながら参上したよ!」


チャット欄もあたたかみに溢れたコメントでいっぱいだった。彼らを中心に輪が広がっていく。


彼らの曲のワンフレーズを思い出す。


『Never End

どこまでもゆこう いくつもある世界

それが 出会えた奇跡 (MSSP!)』


この逆境だからこそ、応援しないでどうするのだろう。

いつも元気をもらっているからこそ、私たちが助けるべき時だ。


お返しするなら今しかない!




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