第9話 最悪な日(1)

 私は靴を履き替えているりんを見つけてダッシュする。


「あ、りん、おはよ! ねね、クリスマスパーティーのこと、言ってくれた??」


「あ、そのことなんだけど」


 なんだか、暗い?


「ここじゃ話せないから、部活が終わったら放送部室に来てもらってもいい?」


 あいまいに頷く。


 けど、ここじゃ話せないってどういうこと?


 ◇◆◇


 部活時間も終わり、放送部室に行こうとしているんだけど……。


 部室の場所、わかんないこと忘れてた!


 まだ友達と呼べるほどの友達はできてないし……。


 どうしよう……。


「あれ? 瑠香ちゃん!」


 颯爽と駆け寄ってきたイケメンさんに私は戸惑う。


 急に下の名前で呼ばれたし!


 見たことはあるけど……。


 誰だっけ、この方。


 名前が出てこない!


隼人はやとだよ! 同じクラスの」


「あ~!」


 あの授業中元気すぎる人か!


「ところでこんなところでどうしたの? 見学?」


「りんに呼ばれて……」


「あ、放送部? ちょうど僕も伊月に用があったから一緒に行こうよー」


「……伊月も放送部なんですか?」


「そうだよー。ついでに言うと僕も一応放送部員。幽霊だけどねー」


 急に隼人さんが止まった。私はぶつかりそうになり、慌ててよける。


「ちょ、どうしたんですか!」


 そう言おうとしたら口をふさがれる。


「しー」


 細くてきれいな指を唇に当てる。


「いま、いいとこっぽい」


「え?」


 隼人さんが指をさした方向を見ると驚きで声が出ない。


「やらしー。いつもこんなことしてたんだ」


 伊月とりんがキスをしていた。

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