第4話 秘密

「ねえ、伊月くん」


 静まり返った部室棟の中。


 人影が2つ。


「なに、りん」


 柔らかく微笑む。


 きっと、瑠香が見たら俺だってわからないだろうな、なんて思いながら。


「本当にいいの?」


「何が」


「瑠香ちゃんにあんなこと言っちゃって」


 小さく息をつく。


「いいんだよ。瑠香にはあれくらい言わないと、響かないから」


「そう」


 それでもなんだか浮かない顔で。


「なあ」


 りんの手をやさしく包み込む。


「瑠香と俺、どっちが大事なんだよ?」


「……伊月に決まってんじゃん」


 頬を赤らめてそんなことを言うりんは本当にかわいらしい。


「りん」


 耳元に口を近づけてささやく。


「大好きだ」


 りんの背中に両腕を回した。

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