とあるオンリーコンのクリティカル

ムネミツ

 とあるオンリーコンのクリティカル

 ……ついにこの日がやって来た! 

 今日は日曜、そしてここは公・民・館っ!

 

 俺の大好きなTRPG、セブンヒーローズのオンリーコンベンション会場

に来た~~~っ!

 公民館のホールを貸し切りで行われる、最高の祭りでしょ!

 テンションマックスで会場に入る俺、受付で当選はがきを提示して入場料の五百円をペイしますっ♪

 「え~っと、5番卓っと?」

 ずらっと並べられたテーブル、参加者やスタッフでホールは満たされていた。

 そんな中、自分が参加するテーブルを見つけて席に着く。

 ゲームマスターは、茶髪のロングにピンクのセーターに赤いスカートピンクのほっぺが可愛らしい女性……ってマジかっ!

 「あ、参加者の方ですね♪ よろしくお願いしま~す♪」

 声まで可愛いGMの名札を付けたお姉さんは、ウェブラジオのパーソナリティー

も務める声優の大里由美おさと・ゆみさんでした。

 「よ、宜しくお願いしますっ!」

 やべえ、声優さんがマスターの卓って最高でしょ!

 気が付けば俺の他にも参加者が集まってくる。

 宅に座ってる六人の内、女性四人かよ!

 俺以外の男子は、スーツ姿で来た眼鏡男子の格好良い兄ちゃん。

 全員が卓に付いた所で挨拶。

 参加者全員が鞄から基本ルールブックにサプリメントとゲームを遊ぶのに必要な

書籍やダイスを取り出す。

 準備が整った所で開会のあいさつが始まる。

 GMである由美さんも席を離れ司会の方へ行く。

 司会は制作会社の名物社長だ。

 「それではこれより、セブンヒーローズオンリーコンベンションを開始します」

 社長の挨拶に万雷の拍手、いよいよ祭りの始まりだ。

 デザイナーの別府巡べっぷ・めぐる先生と社長のトークの後はマスター紹介。

 七つの卓のマスターを担当する七人のGM達が挨拶とシナリオについて軽く話していく。

 どの卓も面白そうだったが自分が参加する卓では由美さんが

 「殺戮劇になる確率が高いです、頑張って乗り越えて下さいね♪」

 と、殺戮様の別名よろしくデッドリーな展開になりそうだなと予感させる事をおっしゃったよGM様。

 挨拶が終わればセッション開始、GM席に由美さんが戻ってくる。

 「それでは皆さん、宜しくお願いしま~っす♪」

 「「おねがいしま~っす♪」」

 GMに続いて俺達プレイヤー全員が挨拶をした。

 誰が度のPCを演じるか、ハンドアウトが配られる。

 「僕は五番目の黒き鎧で」

 眼鏡のお兄ちゃんがまず選ぶ、黒き鎧は日曜の朝にやっている変身ヒーロー

が遊べるデータで出来たサンプルキャラクターで俺も好きだ。

 「私は二番目の二丁拳銃ガールにします」

 ショートボブに赤いメッシュが入った髪型のパンクなお姉さんが選んだのは

二丁拳銃を武器に戦う女子高生のキャラクターだ。

 「私は三番目の、魔法女装男子をやりたいです♪」

 男の娘の魔法少女を選んだのは、さっそく役に入っているのか

お団子頭が可愛いゴスロリのお姉さんだ。

 何となくこの人は、業が深そうだぞと俺は思った。

 「じゃあ私は、ハンマー聖女を貰います回復は任せて下さいね」

 四番目のサンプルを選んだのは俺と同じくらいの年齢の眼鏡を掛けた女の子。

 サンプルのイラストと同じくほんわかした印象だが、ゲーマーの中身は外見とは大違いだというのを俺は知っている。

 「俺は、一番の地獄のヒーローを選びます」

 そんな中、ソフトシェルジャケットにストレッチパンツと言う服屋のCM

まんまの格好で来た俺が選んだのは地獄のヒーローと言うキャラクター。

 悪魔の力を身に着けた人間を表すアクマノイドと言うクラスでイラストも

 悪魔っぽく、装甲値を無視して大ダメージを叩き出す攻撃型のPCだ。

 

 演じるキャラクターが決まれば、ライフパスなどの設定を決めていく。

 「俺の名はヨロイダー、悪を討つ為に戦う男さ」

 PCの自己紹介、PC番号が最後から順に語っていく。

 PC5の黒き鎧はダークヒーローっぽいキャラだった。

 「修道服の下は筋肉質です、神は筋肉に宿ります♪」

 PC4のハンマー聖女は、マッスル聖女だった。

 この時点で卓が大爆笑、全員の腹筋が鍛えられた。

 「ふ、腹筋が割れちゃう~~っ♪ PC3のマジカル男の娘です」

 まだ笑いから立ち直れていないのかPC3番の魔法女装男子が自己紹介をする

がこの自己紹介も笑いを誘った。

 「私が一番、常識人じゃないかな♪ PC2番、マフィアのボスの護衛の殺し屋少女です」

 この自己紹介においおいと皆から突っ込まれたPC2番の人だった。

 「最後は俺か地獄の力を身に着けた正義のアクマノイド、ジゴクマンです」

 っと、PCの自己紹介をする。

 「お~、普通だ~♪」

 「悪魔だけど普通~♪」

 「主人公ですね♪」

 「あっはっは♪ 名前がまんま~♪」

 他のプレイヤーの反応はそれぞれ。

 「はい♪ そんなPCさん達でセッションを始めたいと思います♪」

 GMである由美さんが締めくくった。

 

 かくして、こんなトンチキなPC達がそれぞれの理由からヒロインの少女を助けて世界の平和を守るというシナリオが始まった。

 物語が進む中、各々が六面体のサイコロを振手判定を行い筆記用具でキャラクターシートやレコードシートに数値の増減やらを筆記する。

 「回復判定、行きマッスル♪ ……あ、ファンブルっ!」

 マッスル聖女がサイコロを二個振りで為が二個とも一の目と大失敗であるファンブルを出す。

 「いや、そこでファンブル出しちゃらめ~っ! 聖女様、振りなおしてっ♪」

 魔法女装男子がキャラクターの特技を使い聖女の判定を振りなおさせる。

 「……く、筋肉がなければ死ぬところだった!」

 この振り直しのおかげで黒き鎧の戦士、ヨロイダーが復活する。

 「はい、援護射撃の特技でジゴクマンのクリティカル値を下げたよ!」

 「ありがとう! 地獄の力に正義の心、悪魔の力でも人は救えるんだ!」

 二丁拳銃少女の援護で俺の演じるジゴクマンが出したサイコロの目は五のゾロ目のクリティカル!

 「はい、ジゴクマンの爪に燃え盛ったのは紫ではなく黄金の炎! その一撃を受けてボスのHPはゼロになりましたっ♪ おめでとうございます♪」

 GMの由美さんが戦闘終了を告げる。

 セッションはPC達の勝利で幕を閉じた。


 自分の好きなシステムで主人公ポジションを演じられてボスを倒して勝利を決められると言う最高の祭りだった。

 「すっげえ楽しかったです、また遊びましょう♪」

 TRPGは最高だぜっ♪

 

 

 

 

 


 

 


 

 

 

 



 

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とあるオンリーコンのクリティカル ムネミツ @yukinosita

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