四年に一度の流星群は君と見たい

シュタ・カリーナ

流星群の空の下

 四年に一度、流星群が降る。

 いつからか、その流星群を恋人と見ると永遠に結ばれるといわれ始めた。


 俺は大学に入り、新生活に色々と困惑していた。そんな時俺を手助けしてくれた先輩の佐々木穂花さんに、俺は惚れていた。

 せっかくなので彼女と流星群を見ないか誘おうと思い探しているのだが、彼女が中々見つからない。

 今日は確か午前中の授業はなくどこかで時間を潰していると思うのだがどこにも見当たらない。


 黒く伸びた髪は美しく、顔立ちも整っており、美女なためすぐ見つかると思っていたが甘かったらしい。


 俺は学食にて昼食をとっていた。


「おはよう、水原」

「あ、おはようございます、先輩」


 彼女は俺の向かいの席に座る。


「というか先輩、おはようって」


 彼女がおはようと言ったためおはようございますと返したのだがまさか――


「ああ、寝坊した」


 テヘッと笑う。

 可愛い。


「先輩が寝坊って珍しいですね」

「ああ、ついなつい」


 寝坊でこれていなかったらしいが、俺の努力はいったい。

 ともかく誘ってみることにしよう。


「先輩、その、俺と一緒に流星群を見ませんか」


 彼女は目をパチパチとさせて驚きの表情を表す。


「ああ、もちろんだ。実は私もお前と見ようと思っていたのだ」


 俺は彼女と流星群を見る約束を取り付けることができた。

 俺はウキウキ気分で午後の授業を消化する。


 ◇◇◇


 さて、彼女と約束した時間だ。

 『七時に駅前』――その約束より十分前にきたのだが、彼女はすでにきていた。


「先輩お待たせしました。待ちましたか?」

「ああ、大丈夫だ。私もさっき来たところだ」

「では行きましょうか」


 俺はここから程近い川辺の堤防に向かう。

 そこからだと横たわりながら観れる上に、カップルには人気の場所らしい。


 川辺に着く。

 やはりカップルに人気の場所とだけあって、男女の二人組が多く見られた。


 他の人から離れたところに腰を下ろす。

 流星群が見られる時間は八時ごろ。もう数十分もすれば見られるだろう。


 隣の先輩を見る。

 彼女の横顔は見ているだけで美しかった。


 どれほど見ていただろうか、さすがに見すぎていたようだ。


「どうした? 水原」

「いや、先輩美しいな、と」

「なっ!?」


 彼女は顔を赤く染める。


「先輩、俺と付き合いませんか」


 ちょうど流星群が降り始める。


「ああ、もちろんだ」


 俺は流星群を眺める。

 流星群は黒い空のキャンパスを上書きするように次から次へと光を描いていく。


 周りを見ればキスをしているカップルもいた。


「先輩っ、キス、していいですか」


 俺はそういうと彼女も同じことを考えていたのか、俺を抱き寄せキスをする。


「ふふっ、好きだぞ水原」

「俺も好きですよ先輩」


 俺と先輩は静かに手を繋ぎ流星群を見上げるのだった。


 ◇◇◇


 流星群の数も減りそろそろ終わりだろう。

 俺はゆっくりと立ち上がる。


「先輩また四年後ここで一緒に見たいです」

「ああ、そうだな。その時には結婚もしていたいな」

「結婚は早いんじゃないですか。でも、次見るときは恋人ではなく夫婦として」

「ああ」


 俺は四年後、ここで夫婦として来ることを誓うのだった。

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