生きづらいときは、逃げてもいい:易しい生存戦略

ドルファイ76

第1話 あなたが生きること、それだけで尊い

人間の問題は、ほとんどが「心」、即ち人間関係と言っても過言ではないだろう。

それだけ多くの関係をもっているし、多くの役割をいつのまにか背負っている。


学生としての役割

家族としての役割

友達としての役割

恋人としての役割

会社員としての役割


大人になればなるほど役割を演じる達人になっている。


その中で役割が果たせなくなると、徐々に闇が自分を蝕んでいく。

また素の自分と役割にギャップがあるほど葛藤することになる。


もしも、その場所で役割を認めてもらえない場合は、

心はさらに悪化していくことになるだろう。


そんな時にできる対応は限られている。

がむしゃらに頑張ってみる人も多いだろう。


だがどうしても上手くいかない。

なぜだろう?と疑問が湧いてくる。


私は正しい事をしているのに結果がついてこない。

そんな風に考えると、周りの人間が悪いように思えてくる。


そんな気持ちになったときは、一呼吸をしてみよう。


ここで重要なことは、

今いる環境が自分にとってどういうものなのかを、

もう一度考えてみることだ。


現状環境の認識をアップデートする必要があるかもしれない。


もし、ブラック企業や悪質ないじめを受けているなら、

有無を言わせず去るべきだろう。


これは、残念なことに社会には少ないながらも、

弱者を痛めつけ食い物にする人間が一定数は存在しているからだ。


そんな人間は、改善などすぐにできない。


去るしかないのだ。難しいなら公的機関を頼ろう。


自分一人で頑張ってしまう人が多いが、社会を頼っていいのだ。

そのためのセーフティネットである。


そこまではひどくはないし、いきなり去ることなどできない。

という人の方が多いかもしれない。


その場合の対処方法を以下に記載してみる。


1:対話のアプローチを変えてみる

2:遠くから見つめる

3:距離を置く

4:視座を上げる

5:逃げる


項目が下にいくほど強力な効果がある。

一つずつ順番に見てみよう。


まず、

1:対話のアプローチを変えてみる


これは、ものすごく簡単な方法で、


聞くに徹する。


ということになる。


一度自分の意見をしまい、相手の根本的な意図だけを見つめ考えてみよう。


意見の根拠や感情を観察して、

ときには、適宜相づちをうちながら、内容を言い換え、繰り返し問うてみる。


このとき重要なことは、相手の話を真剣に聞いてみる、ということだ。

その感情は、必ず相手に伝わる。


聞くことは、ほとんどの人が中々できない。


というより難しいのだ。人間は自分の意見を大事にしているし、

どこか相手への助言だと思ってしまうので、

なおさら聞くことに徹することができない。


ただそれでは相手に近づけないので一度じっくり話を聞いてみよう。


2:遠くから見つめる


これは、どういう行動原理をしているか観察するということである。


何を根拠に行動しているか、

どんな行動パターンで、誰と関わっているのか、どんな癖があるのか

ある意味、対象を調べる探偵をするのだ。


そうすると、おぼろげだった対象の輪郭がくっきりとしてくる。

何より多くの情報を知っている時点であなたは優位性をもっている。

その情報を整理し対策を立てれば、多少なりとも関係性は改善するはずだ。


上記の二つは、他者への関心を上げることを意味している。

言い換えれば。相手に寄り添うということだ。

相手も寄り添う者を無下にはできないだろう。


騙されたと思って暫くやってみて欲しい。

それでも上手くいかない場合は、次の手に移ることになる。


3:距離を置く

これも効果的な場面があるだろう。

なぜなら、人間は全ての人間に好かれることなどできないからだ。


どうやっても苦手な人は、存在する。

だからといってすぐに敵対する必要などない。


そうではなくて、さっきとは逆に自分の関心度を下げていくのである。


具体的にはどんな方法があるだろうか。

相手との会話回数を減らすか、一度にまとめてみる。

言い換えれば、摩擦する回数を減らすと言ってもいいだろう。


そうすることで、何かしら関係性が変わることもある。

また時間が解決してくれる場合もある。


あなたも変化している様に、相手も変化しているのだ。

あなたの行動によって変化するかもしれない。

不変の関係性などないだろう。


4:視座を上げる

視座を上げるとは、

様々な視点から事柄を評価することである。

高所からの視点をもつことは、色んなメリットがある。


例えば、

今いる環境・場所が、特殊な場所であるということを

認識することができるからだ。


なぜか?


私達は、今いる場所が絶対だというバイアスがかかっている。

そうだと思わされている。


しかし、そうではない。


同じ時代の

同じ国籍の

同じ年齢の

同じ環境の

同じ職種の


場所で出会っている特殊な人達の集合体なのである。

唐突すぎて、少しイメージできないだろうか。


具体的に言うと、

例えば、わたしが毎日新しい人間に10人出会ったとしても、

100年で、36万5000人しか会えないのである。


日本人でいくと1億2千万人いる内、わずか約0.3%の人間にしか関われないのだ。

この現実を見つめて欲しい。


どんなに頑張っても、その程度の人数にしか会えないのである。


これはかなり強力な事実だ。


だとすると、もし環境が悪いなら、

今すぐ離れた方が良くないか?という思いがよぎる。


それにあなたのその僅かにしか出会えない人達との関係を

良い方向に構築することが、生きることの重要なことではないだろうか。


高い視点をもつことで、事柄の意味が変化する可能性が高い。


5:逃げる

これは最も効果的な方法である。


ここまで来ると後先など考えないで欲しい。

あなたは、環境に圧倒的に追い込まれている。


その環境にいることは、損失以外のなにものでもない。

生命の危機が近づいているかもしれない。


そんな場合は、まずは逃げる。


逃げてから考えよう。

まともな判断等は後でいくらでもできる。


まずは自分を崩壊させないことだ。

相手の気持ち以前に自分を大事にして欲しい。


たまに逃げグセがつくと偉そうに語る識者がいるが、

言っている人間は本当に追い込まれたことなど

無いから言えるのであろう。


そんな意見は無視していいだろう。




そのことによって、自分の環境という場所について

初めて考えることができるようになるだろう。



以上方法論を述べてみたが、

最後に忘れないで欲しいことがある。


それは、

という事実である。


あなたは多くの人が関わって、今この現在に存在している。

生まれて生きていること。


その事自体が奇跡的なこと、だからこそ生きているだけで

自分をもっと誇っていいと私は思う。

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