第8話 あれ、なんかおかしくね?

葵って料理できるんだ、意外だな。

あ、そういえば昔言ってたな〜悠くんにいっぱいご飯作ってあげる〜って……まさか実現するとは、楽しみすぎてお腹空いてきた。

ま、不味かったらどうしよう、なんて言おう……独特な味だね?初めての味だよ?まぁ、葵に限ってそんな事ないか、ないよな……?

ん?てか、なんかおかしくないか?俺、葵に振られてるよな、幼なじみだからってこんなに親しいもんなのか?もっと気まずくなるんじゃないのか?

「なぁ拓?」

「ん?どうした?」

「あのな、振られても親しいくいれるもんなのか?なんかおかしくね?」

「そうだな……たしかになんかおかしいな」

やっぱりそうか……なにかありそうだな

「だよね、なんだと思う?」

「ん〜分からなん」

「だよな〜なんなんだろう」

「振ったけど前みたいな関係に戻ろうとか?」

「だとしたら振った時に言うだろ」

「だな〜てか、お前、振られる前に手作り葵の弁当食べたことあるか?」

「ないな」

「あれ、さらに親しくなってね」

たしかに……なんだろう前より優しくなってる……なんでだ……あ〜思いつかない、だめだ

「ほんとだ……なにか作戦でもあるのか?」

「作戦じゃなくてもなにかありそうだな」

「うん……ひとまず授業始まるから戻ろう」

「おう」

授業が始まった、先生がなにか言っている……全然頭に入らねぇえぇぇえぇえぇぇえぇえ、だめださっきから葵のことか気になりすぎて授業どころじゃない、逆にこんな状態でまともに授業を受けれるやつなんているのかよ、居るなら出てきてくれ……まぁこんなこと考えても俺にはわかる気がしないな……

今は大人しく授業を受けよう……

やっと授業が終わった……結局あの後全然授業が頭に入って来なかったし、やばいな



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



あと、1時間後には悠が私の弁当を食べてくれる……楽しみだな。

「葵、そんなに顔をニヤつかせてどうしたの」

「美希!え、私顔ニヤついてた?恥ずかしいぃぃ」

どうやら楽しみすぎて顔に出ていたらしい……恥ずかしいよ

「そんなことより大変だ」

「どうしたの?」

「さっき、悠と拓の会話が聞こえたんだけど、勘付き始めてるわよ」

「え、それってつまり……”あれ"がバレてるってこと?」

「そう"あれ"がバレ始めているってこと」

「どうしよう、まだ早いよ」

「ひとまず何もなかったかのようにして」

「わかったそうするね」

まさか"あれ"がバレ始めているなんて、とにかく美希に言われたとおりにしよう。



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



「拓」

「ん?たしか……美希だっけ?」

なんだ、美希がどうしたんだ、特に話したこともないけど、委員会とかか?

「そうよ、単刀直入に聞くわ、どこまでわかったの?」

「どこまでと言うと?」

「悠のことよ」

「どこまでも何も全く知らないよ」

とうとう動き始めたか、悠のためにもバレないようにしないと

「本当に?それじゃあさっきの会話は?」

「さぁ〜なんの事やら」

「とぼけないで、どこまで気付いたの?」

やばいな、こいつなかなか引き下がらないし、まったく、面倒だ

「どこも何も知らないって」

「はぁ〜そう、わかったわ、もし、余計な事をすれば……分かるよね」

「あ、あぁ」

「なら良かったわ、それじゃ」

「おう……」

なんなんだこいつ、脅しかよ、たちが悪ぃー

とにかく、これからは教室では話さないようにしよう、バレたら面倒だ

「悠、これからは葵の事は教室では話さないようにしよう」

「なんで?」

「それは言えないがとにかく、そうするぞ」

「わ、わかった」

何があったんだ?拓がこんなに険しい顔をするなんて、きっとなにかあったに違いない

「拓!何があったの」

「なんにもない、お前は気にするな」

「なんで!教えてよ」

「だめだ、これはお前のためでもあるから」

「わかったよ……」

納得がいかない、何があったんだ、また謎が増えたよ……これじゃあしばらく授業に集中出来なさそうだ……黙って弁当の時間まで待とう……

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