第12話 2021年11月某日

「全世界の人類、その70%…いやそれ以上かもしれませんが、Covid-19

 に感染していると考えられます」

 WHOからの発表から1週間が過ぎた。

 世界中が皮肉にも、この発表が引き金になり、自粛を強いられた生活から解放されることとなった。

 もはや自粛の意味は無い…そういうことだ。

 後は、発症するかしないか、それだけのこと…人類は、Covid-19を抑え込むことは出来なかったのだ。

「コレは人類がウィルスに敗北したということではない、ウィルスが人類と共存していると判断しています」


 ………

「順調に感染は拡大しているようです…総理」

「中国の言いなりになった結果はともかく…これで経済の立て直しは計れるな」

「えぇ…我が国も、劇的に老人医療、福祉の予算を大幅に削減できるはずです」

「こんな簡単なことで…この国は立て直せるのだ…老人大国などという不名誉から、やっと抜け出せる」

「死人に医療も福祉も必要ありませんから…」

「そういうことだ…今後は?」

「国土問題ですが…」

「墓場と寺社を撤廃したまえ…いつまでかかっている‼」

「文化面での問題も大きく、なかなか…」

「それも老人が減れば、ある程度進められるだろう?」

「もちろんです、墓など狭い日本には必要ないのだよ、税収に変えられるものは全て変えろ、最優先は税収‼ 徴収は急務なのだよ‼」


 ………

「この国は、甘かったんだよ…罪を犯しても罰を受けない、秩序に馴染めないバカを増やしたのは、間違いなく教育水準の低い底辺層…微々たる納税で国民を名乗るとは烏滸がましい、納税が不足している分は労働力で返して貰わないとな…」

「その前に…納税すらしていない方からですね…総理」

「当然だ、キミも解ってきたな」

「まずは…犯罪者から…プランを練ってみたのですが」

「ほう、いい着眼点だな」

「概要は、現在の高齢収容者を…」


 ………

「悪くないな…法務大臣に資料を回しておいてくれ」

「はい…」

「これはチャンスなんだよ、いや…チャンスにしなければならないんだよ…」

「野党は…黙ってないでしょうね…」

「ククク…キミもまだまだ、だな…」

「総理?」

「ウィルスは職業を選ばんよ…人を見て増殖しているわけではない…ということだ」

「総理…」

「つまりはそういうことだ‼ その手筈も…解るな」

「はい…」


 与野党から何名かの感染者を出しながらCovid-19は拡散していく…

 ある政治家はキャバクラで…女性政治家は支援者からの握手で…。


「感染経路不明…都合のいい表記だな…公にできないか…性風俗通いのバカから隠蔽まで…随分、幅の広いことだ…小さな島国、1億を超える人口の大半を税金で賄えるわけなかろう…必要な時期なのだよ」

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