第11話 甘い話には。。。
「女の子も欲しかったの、でもね、、、そうね分からなくも無いわ、誰でも多かれ少なかれそういう気持ちは有るものだから、それが無かったらとっくに人類は滅亡しているわ、美和ちゃんの場合ちょっと拗らせてしまったのかな、誓と仲良くするだけで症状は緩和されると思う、ただ家に二人だけで居ると暴走しちゃうから、部屋は二人きりでもお家に誰かいる時が良いわね」
あっという間に茶碗を空にする美和ちゃん、
「お替りしていい?」
「多めに炊いたでしょいいよ」
「よっし」
気合を入れてご飯をよそう。
「あ、うちなら居ますちょっと困った位干渉してくるお手伝いさん、それに私の部屋全体カメラでチェックされてるんで親にも筒抜け、それでわざと困らせる事を言いってやるんです」
「そっか、それ遅い反抗期じゃないの、今まで良い子でい過ぎたから」
「反抗期?そうですか確かに私今まで良い子で居なきゃって思ってました、母親はお手伝いさんに任せて放ったらかしで、その人はミキちゃんて言うんですけど結構スパルタで育てられてウエイトリフティング始めたのもその人の影響それでウオリャーって発散してたんです」
「それで力強いんだ」
「うん腕相撲で大人の男性でもめったに負けない、笑顔で油断させる手も使うけど」
お母さん慌てて、
「それダメ、今までは良くてももうお年頃だから、勝手に勘違いして変な感情持つ勘違い人間多いのよ、スーパーの『ありがとうございました』も程々の笑顔にしておかないと厄介な人に目を付けられるの」
美和ちゃんご飯をかけ込んで、
「もごもご、、、フーパーの
「美和ちゃん落ち着いて」
「あ、私はブラックリストの方だから大丈夫、噂になる人も居るけど噂だけだと思うけど」
お茶をごくりと飲み込んで、
「いや良いんです、むしろ炎上しちゃって母が家を出る方が、いやもう私が家を出るからそれはもういいです、ごちそうさまでした」
「早い、もっとゆっくり食べなよ」
「ゆっくり食べてたらお茶を頭から注がれるとか、ご飯に醤油を掛けられるとか、『醤油を頭から掛けられなくてよかったでしょ』ってのがミキちゃん」
「やっぱり怖いあの人」
「そうよ誓も気を付けて、わたしの目を盗んで襲ってくるかもしれないから、まあオカマさんだから男女の仲って事にはならないけど」
(『おかま』じゃないって分かってくれたんじゃ?)
「なんだよオカマって」
「あれっ言ってなかった、ミキちゃん元おとこ、今は完ぺきに女になってるらしいけど」
「えっ、うそぉ、完ぺきな女性、ちょっと逞しいけど」
「手術で取っちゃって今は人口子宮に変えたんだって、多分整形もしてるんでしょ本人は否定してるけど、胸も有りすぎだし」
お母さんが心配そうに、
「美和ちゃん大丈夫なの」
「あっ私は母親代わりなので小学校の時は一緒にお風呂入ってたし、着替えも良くしてもらってた、実の母より頼りにしています」
「でも干渉しすぎなんじゃないの」
「まあ許せる、母は許せない」
お母さんは探るように、
「それで誓と仲良くしようと思ったの?」
「いえそうじゃなくて誓君と仲良くなったから家を出たくなったって言うか一緒にいたいなあって、一晩中作戦練っていましたあのエッチな妄想をいっぱい挟みつつ」
「それは言わなくて良いの」
「分かってるけど、、、そういう気持ち分かってよ」
「えっとど、どうすれば良いの?」
「ごちそうさま」
食事の方だと思うけど絶妙のタイミングで言って食器を流しへ運ぶお母さん。
美和ちゃんも慌てて立ち上がり自分の食器を流しへ運び、その後僕の横に立ち顔を覗き込んでくる。
「何かな」
「旦那様を支えるのが嫁というものです」
僕が手に持つ茶碗をひったくり「はいあーん」
仕方なく口を開けるとゴロッと残り半分ほどのご飯を口に詰め込まれた、空いた茶碗を流し(決してキッチンではない)へ持って行きお母さんの横に立つ。
「私洗います」
「だめ、まだお客さんよ」
「じゃあお皿拭きましょうか」
「お皿拭きはしないの、清潔なふきんで拭かないとかえって雑菌が増えるとか聞いたから、じゃあそのバスケットに水が落ちるように入れてみて」
「なるほど、拭かないんだ食器乾燥機ですね」
「自然のね」
「あのさっきも言いましたけど、失礼とは分かってます、だけどここに住んでる人と結婚したいって親に言っても分かって貰えません絶対引き裂かれてしまいます、私管理を任されている賃貸物件があってそこが空くので、お願いですそこへ移ってもらえませんか」
「そうねずいぶん失礼なお話ね、まあ分かっているわこの子が大学行く頃には何とかしなくちゃって思ってはいるんだけど、ただね私ブラックリストに入っているから何時クビになるかもしれなくて、替わりたくても替われない、それにやっぱり安い所じゃないとね」
「じゃあ任せてもらえませんか、一部屋くらい友達に貸してるって言えば何とかなるので、ちゃんと管理さえしていれば何とでもなります、いわば私不動産会社代わりに使われているんです」
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