第10話 当然に美和ちゃんと涼しげなお母さんの暴走!

「ただいま」


 二人で玄関へ。

「おかえり」

「おかえりなさいませ」


 一瞬固まるおかあさんに短く、

「学校の友達」

「あ、ああお友達、ちかいの、、、」


 お母さんが驚くのも無理はない、小中時代は一人も家に来たことがない、しかも女子だし。

「友達来たの初めてだから混乱している」

 お母さんの状態を解説。


「なるほど初めて来た友人がこんな美人なんだから無理もないです、太知たいち美和でございまーす」

「えっ、、、たいちブ、ブラックデビル一味、、、」

 僕「ブラックデビル(悪魔?)って?」


 お母さんが何故が不穏な発言。

「あっいえなんでも、何処かで見たかなって、、、」


 美和ちゃんデビルは無視して、

「ジャンボスーパーたいちの太知です」

「わっブラックの子分」

 お母さんの顔がこわばる。


「はい、子ブラックです、でもすぐに家を出ます、出来れば今年中に」

「家を出るって?」

「スーパーたいちは弟に任せて私はさっさと、、、あっコンロ見こなくちゃ」

(わざと逃げたな)


「誓何時からお付き合い?」

「えっと高校に入って直ぐ、でも、と、友達だから」

「お母さんが行ってるスーパーの娘さんよ」

「な、成程お母さんしょっちゅう愚痴ってるもんね」

「よりによって、でもうまく行けば、、、いい上手くやりなさい」

 何時もの優しい笑顔は消えて強張った恐ろしい笑顔で。


 このボロアパートにはリビングもキッチンも無い、台所一体居間、決してキッチンでもリビングでもない。


 その空間に僕たちも入って、

「美和ちゃんジャンボスーパーのお嬢さんだったの」

「バレたか、子デビルお嬢様、うちの親評判最悪、学校でバラしたら無理心中だよ覚悟しておいて」

 美和ちゃんはフライパンから野菜炒めをお皿に移しながら。


「(誰にも)言ってないの?」

「流通企業ってごまかしてる、バレたら素っ裸にされて市中引き回しね、誓も巻き込むからね、その後良い事しよ」

「美和ちゃん、、、」

「そうだった一日お嬢様だった、でも子デビルバレちゃったから今更取り繕ってもね、誓お茶碗と湯のみ取って」


 お母さんが言いにくそうに、

「あなた達そう言う関係?」

「違う、たいっちゃん口ではああだけど、、、良い子だから、早く家を出たいんだって」

 茶碗二つと代用の深い小皿一つをテーブルに置きながら。


「出来れば、いえ絶対誓君と一緒に、えと、もう少し時間をください一緒に住める所用意しますから」

「えっ用意って?」

「あのまだ妄想中なので、ただ交際だけは認めてください、あの親が迷惑を掛けていると思います、いや絶対掛けていますけどお願いします」

「あっ、こちらこそ出来の悪い子なんだけど」

「とんでもないです、何でも知ってるし裁縫も出来るし生活力も有るし、ちょっと優しすぎるけど、私だけに優しくなって貰います、もちろんお母さんもです、でもちょっと鍛えちゃおうかなって、お茶碗二つしかないんだ」

 

 僕は湯のみを出しながら、

「うん人が来ることないから二人分しかないんだ、鍛えるのはちょっとでいいからね、美和ちゃんが本気出すと家壊れるから、僕下敷きになってしまう」


 美和ちゃんご飯をよそうのに苦戦しながら、

「分かってる、体育館で汗をかいてからその後用具室でたっぷり汗かこうね」

「曲げないね、中学校でもそうだったの」

「とんでもない、お嬢様の仮面顔に張り付けていたわ、だから今リバウンドマックスなの早く沈めてね旦那様、あっお母さま端無はしたない娘でごめんなさいです、私エッチしか取り柄が無いんです、あの経験はないですから、誓君に捧げますから」


 僕は慌てて止めに入る。

「美和、ちゃん言い過ぎ、気持ちは分かってるから穏やかにね、そう言うの言い過ぎたら下品に思われてしまうから、じゃあご飯にしよ、お母さんうがいしてない」


 でもお母さんうがいの前に、

「分かりました、大知さんの本気で誓と交際したい気持ち。ただね誓が言った様に誰もが良い方に受け取ってくれないから、仲間内で気軽に話しても裏でけなされてる事も有るのよ、何かのきっかけで、例えば誓と仲良くなった様子を見ただけで二人をおとしめる噂を流される事も有るから、噂話って尾ひれが付くものだから気を付けてね」


 真剣に聞いていた美和ちゃん。

「はい、私今までエッチに蓋をしていた分高校に入って押さえきれなくなって噴火させちゃったんです、それで変なお願いなんですけど私の中に溜まってるこのモヤモヤを少しずつでいいので誓君に抜き取ってもらえたら凄く助かります、お願いします」


(わっとんでもない事お願いされそう、どうしたら良いのかな)

「えっとじゃあ頂きますするからお母さんも座ってよ」

「じゃあ美和ちゃんの横にするわ」


 僕の横に並べた食べ物を移動させて席に着く。


「「「いただきまーす」」」


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