第5話 『情景描写』お月様とお人形

お月様が夜を登れば、子供たちの瞳は閉じる。親の躾で子供は早く寝なさいと教えられているから....ではなく、ただ単に眠いからなのである。


 ふかふかのベッドにお気に入りのぬいぐるみを腕いっぱいに運んで、自分を囲むように飾り、夢を迎える.......。


大きな窓から満月の光が部屋に入り込み、室内を優しく淡い金色のような色に僅かに照らす。

 お気に入りの絵本と大好きなお人形をいっぱいに置いてあるベットの上では、一人の女の子がすやすやと眠っている。


女の子の目が閉じ、寝息が聞こえてくる。

 楽しい夢を見ているのか、くすぐったそうに柔らかく微笑みながら、かすかに聞こえる寝息は見る人を癒すような空気を発しているようだ。


 そんな女の子を、周りの人形は見守るように視線を向けている。微笑ましそうに、見守るように、慈しむように。


女の子が寝返りをうち、掛け布団がズレると、隣のテディベアが優しく布団をかけ直す。枕の上の少女の人形が、優しく女の子の明るい茶髪を撫でる。


女の子が望む、楽しい世界とは。

案外近くにある神秘なのかもしれない。


それを知る人間は誰もなく。

ただ、柔らかい光の中人形のみが知っている。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

Hollowの雑記帳 〜ジャンルレスライトノベル〜 Hollow @Hollow2208

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ