第4話 空気読めないやつ

「えーっと…なんかすみません」


気まずい沈黙に耐えられなくなったリムルが謝る。


「大丈夫ですよリムル様。悪いのはあなたじゃなくてシエルです」


『何故っ!?』


と声が聞こえてきそうなことをペテルギウス様が言う。


「うん、どうせならあなたも最初のガチペテキャラを続けてほしかったですけどね」


ザザさんが軽く笑いながら言う。


いや、あなたも―――


「『リムル様、アナタ…怠惰デスねえ…』ってか?ガハハハハ!」


言わずもがな、ヒースクリフ様である。


「だから、皆さんキャラがズレまくりなんですよぉー!!」


「「「「あんたが言うな!!」」」」


なんで私が総ツッコミをくらわにゃならんの!?




「で、これからどうします?なんか、魔王倒せ!って言われても瞬殺しそうなメンバーですが…」

「ですよね。魔王の正妻に最強の魔王に最強のスナイパーに魔女教大罪司教怠惰担当にGM兼KoB団長に原作ラフコフのメンバー…これ絶対メンバーセレクトミスってますよね?」

「うん、そもそも神殺せる人を二人用意してる時点でどんな過剰戦力だよって話ですよね」


シノン様に同調する私におずおずと被せてくるザザさん。

うん、見た目赤眼のザザなのにそんな喋り方しないで…。


「やっぱ近くの街とか探したほうが良いですよね?このまま日が暮れるとかなったら流石にきつすぎますし…」

「そうデスね。ギルドとかの概念がある世界なんだったらそういう系のテンプレもやりたいデスしね」


やっぱペテさんはノリノリだなあ。素晴らしい!


『風の流れや匂いから推測するに、ヒースクリフ様から見てザザ様の方向10km先に大きなまt…』

「シエルシャラップ!!!」


リムル様が大きな声でシエルを制止する。


「うん、シエルさんマジないわ」

「ちょっとね、気遣いの方向性が違うよね」

「リムル様のラノベ知識あるんでしょ?ならどうしたいかなんか察せないと駄目でしょ」

『(なんで親切心で教えたのにdisられるのでしょうか…。…ていうかいつものリムル様と色々と違うような…)』


「ま、まあシエルさんを責めてもしょうがないですし、とりあえずは街の方に向かいましょうよ」


若干イジメのような雰囲気になっていた一同を宥めてシエルさんが指し示した方向を向くシノン様。


だが。


「え!?何あの数の魔物!?さっきまではいなかったのに…!」


そう、そちらは奇しくもユニコーン(?)がいた方向。そこに、小さいものではゴブリンやコボルトのような魔物、大きいものでは神話の巨人アトラスを思わせるような巨人まで、明らかに数千を超える魔物が犇めいていたのだ!


「どういうことなんだ!?」


リムル様が叫ぶ。


「あれ?シエル?」


『………。ああ、これは答えて良いんですね。さっきのシノン様が殺した魔物が楔のような役割を果たしてこの辺りの魔物を封じ込めていたようですね。で、それが倒されたから出てきたようです』


めっちゃ拗ねてる!!

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