「学校の屋上」「白雪」「欺く」

 学校一の美少女を屋上に呼び出して、積年の恋情を告白した。結果は散々だったが、自分としては満足だった。言わない後悔よりも言った後悔が遥かにマシだというのが僕の信条なのだ。

 卒業式の日、僕はなぜかその美少女に呼び出された。場所はまた学校の屋上だ。ちょうど季節はずれの白雪が降っていた。

「あれから君のことをずっと考えていたの」

「そうなんだ」

「それでね、君のことを前よりわかった気がするの」

「ふむふむ」

 それでどうなったか。どうもなりはしなかった。ドラマツルギーの伝統を裏切り、読者を欺くのも物語の面白みなのだ。

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