22日目 業務割合

「一日のうち、必ず6時間を〈全自動〉に当ててね! そのほかの業務は残り2時間の中でうまく行ってくださいね」


 社長がまたややこしいことを言い出した。


「8時間業務のうち、必ず6時間を〈全自動〉業務に当てて! ちゃんと報告書に内容を時間軸で書いてね。上長は毎日チェックして、内容がおかしかったら直させて。全社員分を私が毎日チェックしますから、本社総務は書写した書類を夕方17時までに私の机の上に置いておいてね!」


 いろいろと言ってること、特に時間の流れがおかしいような気がしたが、コタンは何も言わなかった。ほかに異を唱える者がいなかったので、おそらくはこれでいいのだろう。


 王都の審査はまだ通ったわけではないが、〈全自動〉プロジェクトが本格的に動き出したことで、全社が一丸となってこのプロジェクトを推進していくことになった。そこで、社員の業務割合を〈全自動〉プロジェクトに重きを置いたものに変更していくことになったらしい。

 社長の隣に座っている総呪術監督グランドディレクターであるザルトータン部長が少し驚いた顔をしていたので、これは社長の独断であり、そして今はじめて口にしたのだろうということが分かった。


 しかし、6時間どころか、8時間フルに作業して終わらない位の業務量なのだ。その辺はどう処理したらいいのか。また、〈全自動〉プロジェクトに参加していない人たちはどうするのだろう。


 コタンは、自分の胃が重くなったような気がした。


 ムリエラはまだ支社に戻ってこない。

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