第3話 レベルを上げよう!

「そういえばあなたって、この世界のスキル会得の仕様については知っているの?」


あ、スキルに関してはある程度学んだつもりだったけど、あくまでそれはスキル発動の仕方だけだ。スキルの会得方法はどうせレベルアップだろうと思い込んでしまっていたからだ。


「学んだつもりなんですが……。自分が知り得たスキルについての情報はスキル発動条件ではなく、発動させるための挙動でした。あはは」


「あははじゃないわよ全く。いい?私も最初はスキルはレベルアップで覚えるものだと思っていたんだけどね。実は違うと聞いてあまりにも驚いたの。人のこと言えないね。ほれでね、その方法なんだけど……それは特定のクエストをクリアするだけ」


「そこまで難しくなさそうだけど、どうして難しいみたいな言い方するんだ?」


「うん、それには訳があってね……。実はそのクエストを持っているNPCの居場所がランダムってことかな。それとレベル3になったらそのクエストは受けれるんだけど、とてもレベル3では勝てない相手なのよね」


「でも、フーラさんたちはその時知ったらすぐ受けに行ったんだよね?なんで勝てたの?」


俺が一番疑問に思っていたことを、目の前のピンク色で髪は短い背もだいたい160ぐらいで胸もそこそこありそうな可憐で美しい師匠に尋ねる。


「その時は私たち知らなかったら、どんどんレベル上げをしていたころなんだよね。ちっともスキルは習得できないから困ってた。その時のレベルはだいたい12ぐらいだったかな?今は40超えたけど。私は魔法使いとして魔法スキルはどうしても習得しなきゃだめなのにって思ってソロで挑んだ。敵のレベルもちょうど同じくらいだったの」


「敵も同じくらい!?レベル3になったら受けれるようになるって……。すぐ受けに行った初心者は一生スキル会得できないやん……」


「このVRMMOにはというものがあるんだけどわかるかな?それを使って私は魔法使いという職業を活かして募集した。するとあっという間に人が集まって、見事クエストクリアって感じだった」


「ほほう、さてはレイド推奨クエストってことだな」


「そのとーり」


話をしているうちに俺たちは村のとある一角にある家の前にいた。


「ちょっと待って、君ってレベルいくつ?」


「まだ1レベですが……」


しまった!!言い忘れていたと、思わず落胆してしまう。


「仕方ないわね、付き合ってあげる」


「お、お願いします」


※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※


俺たちは近くのフィールドに出てきた。



「とりあえずこの辺のモンスターをザクッと狩りましょうか」


「そうですね」


俺は周辺を見渡す。この辺はフィールドってだけあって草原しか広がっていなかった。途中途中に岩や花があるくらいか。この辺に現れるモンスターは見た感じだとスライム、牛、狼、虫といったところか。


「初心者、そしてスキル無しにとって手っ取り早いモンスターはそうね……。やっぱスライムかしらね」


「スライムはRPGだと有名な雑魚モンですからねぇ。通常攻撃だけで余裕ですよ」


「んじゃ、頑張ってねー!私はその辺にいる糸蝶を取ってくるから」


糸蝶というのは、その名のとおり糸のような体のつくりをしている蝶だ。見た目は普通の蝶なのだが、武具生成に必要な素材である綺麗な糸を落とすらしい。まあ、今はフーラさんと同じパーティーってことになってるから倒したら俺にも経験値が入るからお得だな。


俺はスライムに向かって通常攻撃である、縦斬りを行った。しかしスライムはぽよーんとしてて斬れない。


「おいおい、なんでだ。すぐ斬れるはずだよな。ほれ」


俺は何度も縦斬りを行うも、ちっとも斬れやしない。ピクピク、ぽよんぽよんしていたスライムは痺れを切らしてか、いきなり俺目掛けて飛びついて来たので避けきれずにぶつかりダメージを受ける。俺はスライムに押し倒され、地面に倒れてしまった。


「もごもご、離れろ!この!この!」


俺は何度も剣をスライムにバシバシやるけどビクともせずに、ひたすら俺の上でくねくね動いている。その間もダメージは少しずつだが、受けている。レベル1のHP総量は10だ。スライムの1回1回与えるダメージは2。そろそろ俺のHPも限界を迎えようとしている証拠に赤色に染まっていく。


「ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙!!!!!助けてください!助けてください!フーラししょおおお!」



「?なにやってんのあれ……なんかのプレイ?まあいいや、助けてあげなくっちゃ」


フーラさんは杖を縦に構えて地面に突き刺し、魔法陣を発動。そして――


「ウォール!」


途端、彼女の前に岩ができた。その岩はスライム目掛けて飛んでくる。そして見事にスライムに命中した。スライムはポリゴンの欠片となりて、姿を消した。その時にファンファーレが鳴り、アイテム獲得の表示とレベルアップの表示が出現した。


「へぇ〜。スキルはまだ習得できなくても、スキルポイントは獲得できるんだな」


その証拠に、スキルポイント3獲得しました。と、表示されている。それよりもフーラさんにお礼を言わないと。


「師匠ありがとうございます。おかげで残りHPが1だったのが見事に耐えましたよ。魔法って遠距離攻撃ができるので便利そうですね」


「いえいえ。うん、そうね。今使ったのは土属性のウォールっていう魔法なんどけどね。岩を出現させて敵に向かって飛ばすだけのシンプルな魔法だけど。この魔法は初心者向け」


「なるほど……勉強になります」


その事は知っていたというのは秘密にしておいた。だってそれを言ってしまえばフーラさんが教えたことが台無しになってしまうからだ。


「今のでレベルは2か。まだまだですね」


「まあ、糸蝶15体とスライム1匹だからこんなもんだよ」


「じゅ、15体!?どうやってあんな細かいのをそんなたくさんに……」


「それはね、マジックマスターのオリジナルスキル【OS】っていうんだけど、それの口笛を使って特定のモンスターを集めて、私の今ある範囲攻撃のアクアシェイターを使ったまでよ」


「なるほど……」


あまりの仕事の速さに思わず感服してしまっていた……。

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