第2話 助っ人


「ここがVRMMOの世界かぁ」


俺こと圓山総司はCrisisWorldにログインした。

********************


『ようこそ、CrisisWorldへ』


俺を招くそれは、言わゆるNPCノンプレイヤーコンピュータである。彼らは俺たちプレイヤーのような人間の感情というものを持っていないが、ゲムマスによって設定されたセリフを吐く。


「は、はい」


俺は返答する。


『そうですね。まずは、このゲームの成り行きというかあらすじから説明させていただきますね』


「ほう、あらすじとな」


そこから長いあらすじを5分ぐらい聞かされたと思う。そしてついに運命の選択がやってきた。


『ソナタには職業を選んでもらおう。この中から一つ選びなさい。しかし、進めていくと、ある者に話かければ転職が行える。だから今は好きな職業を選ぶが良い』


なるほど、転職がやはり可能なのか。うーん、迷うなぁ


初期装備はみんな一緒みたいだな。やはり魔法を使えるマジックマスターか……。いやいやソードマスターもありだぞ。


俺は結構考えた挙句、ソードマスター。言わゆる剣士を選んだのだ。


『では、次にプレイヤー名を決めてもらいます』


すると、俺の目の前に文字を打つキーボードと名前欄が出現した。俺は左から順番に、ダイモンと入力した。


『ダイモンよ、この世界を救ってくれる勇者であると、私は信じています。がんばってください』


この神父的なNPCがそう告げた。いよいよVRMMOを実感できるようになるのだ。ワクワクが止まらない。



「ついにきたぁあああ!VRMMOの世界にぃい!うっひょぉおおお!!!!!」


俺は始まりの街であろう、長門村ながとむらというところにいた。ここには現在、プレイヤーは数多くいた。


「まずはなにすればいいんだ……」


俺は早速迷っていた。攻略サイトにて数多の情報を獲得していたにも関わらずだ。


「あのぉ、あなたって初心者ですか?」


うろうろしていると、不意にカワボに訊ねられた。声のする方を振り向くとそこには、それはもう可憐で美しいお姫様のような存在がいた。


「クスクス、そんなに見とれなくてもよくってよ?一般の人と話す感じで接してくださいな」


「さ、悟られたのかな。ありがとうございます。はい、今日始めたばっかの新米です」


恐る恐る答える。この女性はおよそ16歳ぐらいだろうか……。あまりにも美しすぎて話しているうちに顔が赤くなってしまう。


「ふむふむ。そゆことね。迷っていたということかしら?どう?私も暇だし色々教えてあげるよ」


「た、大変助かります!」


俺と彼女との短い冒険が始まる。


言い忘れていたが、彼女の名前はフーラというらしい。なんとも可愛らしい名前なのだろうか


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