女々しくて何が悪い(実話)

恋と鯉

第1話 中学時代

これから話す事は

鮮明に僕(さつき)の記憶に残る

忘れられない思い出。


中学生の頃周りは受験をして高校に通うのが当たり前の中。


僕は受験も高校に通う気もサラサラなかった。


中学生の僕に特にやりたい事も無く

教育を受ける意味すらわからなかった。


中学2年生になると学校にも行かなくなり

雑誌やテレビの影響で髪の毛を染めたり

世で言う不良と言う部類に入っていった。


中学3年になり高校受験をする周りの友達とは少しずつ疎遠になっていき僕だけが学校に行かないまま卒業した。


中学を卒業するとすぐにバイトを始めた僕は仕事でクタクタの日々を送っていた。


そんなある日の休日に下の部屋から母が僕を呼んだ。


母「さつき~お友達から電話だよ」


誰だと思い電話に出ると中学の同級生の大輝からだった。

大輝は中学からの友達であの頃は毎日のように一緒にいた。


そんな大輝が

大輝「さつき久しぶり!俺さ彼女ができてさ

今度さつきに合わせたいからご飯でも行かないか??」


僕は相変わらず一方的な大輝のペースに少し戸惑ったがわざわざ自分を誘ってくれた事は嬉しく次の日曜日に会う約束をした。


内心久しぶりに同級生と遊べる事でワクワクして日曜日が待ち遠しかった。


日曜日になりいつもより早起きして髪をセットして大輝の彼女がどんな女性か考えながら待ち合わせ場所に向かった。


大輝「さつき!」

後ろを振り返ると大輝とその横に彼女らしき女性が居た。

女性「さつきくん久しぶり」


え?あれ?

驚いた事に大輝が合わせたい彼女は同じ中学の同級生だった真希だった。


真希「もうすぐ来ると思うから」


ん??僕が不思議がっていると遅れてもう1人女性が来た。


彩「遅れてすみません」


ここで薄々気付いた僕は大輝を呼んで問い質すとどうやら真希の友達である彩に自分を紹介する目的だったようだ。


正直僕は社会に出たばかりで誰かと恋愛する程まだ自分に余裕は無かったが大輝の頼みもあり渋々引き受けた。


4人で映画を観てカラオケしてご飯も食べて夕方になると近くの公園に移動した。


公園に着き最初は皆で話してたのだがしばらくすると大輝と真希は離れて行き僕と彩の2人きりになってしまった。


彩はおとなしそうな見た目とは違い一気に距離を詰めてくるような積極的な女性だった。


2人きりになり内心戸惑った僕からしたら

彼女の方から色々と話を振ってくれるので

なんとかその場は盛り上がった。


空も暗くなりはじめお互いに学校や仕事がある事もありその日は解散になった。


家に着いてすぐに大輝に電話し上手く話せなかった事を謝罪した。



大輝「そんな事気にするなよ~

俺も真希に頼まれただけだから大丈夫だって」


そう言われて少し安心した


よくよく考えると中学時代は普通に話す女性は沢山居たけど恋愛前提の相手って1人もいなかったのかもしれない。


真希と彩には悪いけどいい勉強になったな


それから1週間が過ぎた日曜日の朝

また大輝から電話がきた。

大輝「あのさ彩がさつきに会いたいらしいんだよ」


なんで??


大輝「どうしてもさつきに渡したい物があるんだってさ」


渡したい物??


全く意味がわからずにいると


大輝「とにかく急で悪いけどこれからもう1回だけ会ってくれよ」


そう言って時間と場所を伝えられ電話は一方的に切れた。


まったく大輝の奴!

むしゃくしゃしながらも嫌な展開にならない事だけを祈って言われた場所に向かった。


その場所に着くとすぐに

彩「さつきくん急に呼び出しちゃってごめんね」


彩は少し恥ずかしそうな笑みでそう言った


どうしたの?と聞くと


彩は少し目を逸らし可愛らしい色の封筒を僕に渡してきた。


彩「家に帰ったら読んでね」


そう言って彩は真っ赤な顔でペコっとおじぎして立ち去って行った。


あんなに積極的だった彩のさっきの態度


家に帰り手紙を読むと案の定最後の文面に私と付き合って下さいと書いてあった。


僕はなんとなく予想してただけに意外と冷静だった。


と言うのも僕には彩と付き合う気はサラサラ無かったからだ。


変に待たせたり期待させるのも申し訳ないと思い次の日に大輝に電話して真希から彩に断って貰うように頼んだ。


彩は勇気を持って直接自分に伝えてくれたのに僕は第三者を通してでしか伝えられず彼女を傷付けてしまった事が情けない。


この一件以来しばらく仕事やらバイクの免許を取るのに教習所に通ったりで気付けば夏の終わりに近付いていた。


仕事が早く終わり教習所も入ってなかったのでバイク雑誌を買うのに本屋に立ち寄った。


「あれ!さつき~」


雑誌を探してると同級生の優希が声を掛けてきた。


優希「久しぶり、仕事頑張ってるみたいじゃんか」


優希はどうやら昼間は本屋で働いて夜から定時制の学校に通ってるらしい。


優希「さつき彼女はいるの?」

もちろん居ないと即答

優希「て事は童貞かよ」ヒソヒソ声で言った

僕「殺すぞ」www


優希「俺さ中学の時に同級生だった智美と付き合ってるんだよ今度さ皆で遊ぼうぜ」


この頃の僕は携帯電話を持つようになり電話番号を教えて優希と別れた。


智美かぁ

会いたいな


自然に口からこぼれた


実は智美は小学校からの同級生で何度かクラスも一緒になり席が隣になった事もあった。


小学校や中学校までの記憶では智美は学級委員や生徒会長などを進んでやるような言わゆる優等生だった。


正義感も強く悪い事は悪いとハッキリ言うタイプで僕らみたいなタイプとは全く話が合わず僕の周りは苦手だった。


でも僕はそんな智美に少し惹かれていた

人に合わせて思ってる事もちゃんと言えないような人間よりか自分の意見をちゃんと言える人間の方が人として素晴らしい。


優希と智美が何故付き合うようになったのかは不明だがおそらく僕が学校に行ってない間に2人に色々あったんだと思う。


次の日さっそく優希から電話があった

「来週の休みの日さ皆でBBQしない?

他にもさつきに会いたいって奴が何人かいるからそいつ等も呼んでさ!」


もちろん智美も来る事を期待して二つ返事でOKした。


翌日、教習所の卒検も無事に終わり

あとは明後日の本免で受かればOKだ

僕「ひゃっは~」

テンション上がって思わず叫んでしまい周りから凄い目でみられた

バイクは既に頼んであり今はバイク屋さんで保管して貰っている。


2日後、無事に本免に合格して急いでバイク屋さんに向かった

バイクは中古の車体をフルカスタムして親に保証人になってもらいフルローンで購入した。


バイク屋さんと色々話した後にさっそくバイクに跨りエンジンを駆けヘルメットを被り自宅までの道をわざと遠回りして帰った。


今でもバイクは乗るけどこの時のドキドキと感動は今も覚えてる。


そしてBBQ当日

言われた場所に僕は向かった


遠目から人が集まってるのが見えたので近付いてみると優希達だった


優希「お~さつき」

大輝「なんだよ格好つけた登場しやがって」


この時まだ免許を持ってるのは僕だけだった


他には初めて一緒に髪の毛を染めた真也


真也「久しぶり」


夜中によく公園でくだらない話をして笑い合った敏樹


敏樹「今日も夜中まで遊ぼうぜ笑」


当時僕が苦手な夢とか将来とかやたら真面目に語ってくる拓海


拓海「おっす!」


いつもヘラヘラしてる康介


康介「お久しぶりぃ~」


そんなに経ってないけど懐かしい面々だ


真希「やっほ~」


智美「さつきくん久しぶり

ヘルメットの紐緩んでるよ!」


智美……

変わってないな笑


彩「お久しぶりです」


彩まで!

気まずいwww


しかしここに彩が参加した事で後の僕の運命が一気に変わる事になる。


今の僕は全てがここから始まった




つづく

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女々しくて何が悪い(実話) 恋と鯉 @bokunokioku

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