お題「神様」「迷信」「楽園」

「……で、俺の両親が俺のために祈り続けたから、あんたがやって来た、と。その得体の知れない迷信にのめり込んで」

「迷信ではないぞ、少年よ!」


目の前には、タンクトップに迷彩柄のハーフパンツを履いた、コーヒー色の肌の男。


「なぜなら、私という信仰の対象がちゃんと存在するからだ!」


この男、神様らしい。

最初は疑ったが、彼が何もない空間からトレーニングチューブを出すのを見てしまったので、信じざるを得ない。


神様が白い歯をニカッと見せる。


「ご両親が『子の幸せ』カテゴリに一万ポイント以上の信仰心を注いだので、私は君を楽園へいざなうためにやってきた!」

「楽園!」


何? その神展開! 神だけに!

俺もこいつのこと、信じてもいいかもしれない!


「で、楽園ってどんなところなんだ?」

「ふっ、涙を流して喜べ!」


神様は胸の筋肉をピクピクさせながら笑みを浮かべた。


「何と、一日中行軍運動と選べる部位別筋トレがやり放題! さらに選択制だが選んだジャンルのスポーツを、トレーナー付きで一日三時間以上確約だ! 楽園だろう?」

「ぐふぅ……」


うっ、ちょっと吐き気が……


「ち……ちょっと多いな。やれないときはどうするんだ?」


急に神様は、神妙な表情を作った。


「……地獄へ落ちる」

「じ……!?」


ごくりと喉が鳴る。

気まずい雰囲気。

神様は地獄について語り始めた。


「一日の半分をカウチに座らされ、ピザと炭酸飲料を摂取させられながら映画を見せられ続けるという、世にも恐ろしい地獄だ……」


「……あ、俺最初から地獄で」

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