【百合・恋愛・微エロ】キスする場所の意味

小説投稿サイト「ノベルアッププラス」百合フェア2020応募作品の転載です。

https://novelup.plus/story/902731717


【作品タイトル】

キスする場所の意味


【エピソードタイトル】

口は愛情


【あらすじ】

りりと愛花は今日も仲良し。

キスする場所の意味について話をしている。


――――――――――――――――――


 優しくキスをすると、唇から彼女の体温が伝わってきた。

 とろけるような感触をゆっくりと楽しむ。

 甘いミルクティのような味がした。


 ようやく満足して体を離すと、愛花がじっと私を見つめた。

「りりちゃんってキスが好きだよね」

「だって、気持ちいいもの」

「私もりりちゃんにされるの気持ち良くて好きだよ」


 そう言われると嬉しくなり、私はまた愛花にキスをする。

 長いキスの時間が終わり、ふと思いついたように愛花が尋ねた。


「ねえ、りりちゃんはどこにキスするのが好き?」


 思いもよらなかった質問に、私は少し考える。


「うーん、ほっぺかなあ」

「そっかそっか。他には?」

「手かな」

「手のどこ?」


 私は自分の手を見つめて、答えた。

「手の甲」

「他には?」

「もちろん口にするのも好きだよ」

「ふーん」


 心なしか、愛花の顔が赤くなっている。


「じゃあ、次の質問ね。キスされるなら、どこがいい?」

「今度はされる場所?」

「うん」


 またしても私は少し考えてから答える。


「愛花がキスしてくれるなら、やっぱり口かなあ」

「他には?」

「……耳と、喉かな」


 そう答えると、愛花は顔を真っ赤にさせた。

 なんだかこちらまで恥ずかしくなってしまう。


「愛花は?」

「う~ん。自分がするなら、首と鎖骨かなあ」

「へ、へえ」

「もちろん口もだよ?」

「……うん」


 妙にドキドキしてきた。


「じゃあ、されるなら?」

「胸と、腰と、太ももがいいかなあ」

「そ、そうなんだ」


 心臓の高鳴りを抑えきれないでいると、愛花はにやにやと笑った。

「キスって、する場所によって意味があるんだって」

「ふうん?」

「さっき、りりちゃんが言った『ほっぺ』と『手の甲』はね、それぞれ『親愛』と『敬愛』っていう意味があるんだって」

「つまり、愛花のことが大~好き! ってことかな」

「きっとそうだね」

「……じゃあ、口は?」

「それは最後に教えてあげる。さっきりりちゃんがキスしてほしいって言っていた『耳』と『喉』はね、『誘惑』と『欲求』っていう意味があるんだって! りりちゃんは私に誘って欲しいってことだね!」

「えっ」


 私は顔を真っ赤にしたままうつむいた。

 恥ずかしくて、愛花の顔を見ることができない。


「じゃ、じゃあ……愛花がキスしたいって言っていた『首』と『鎖骨』は?」

「『首』には『執着』って意味があるんだよ」

「えっ」

「つまり、りりちゃんを独り占めしたいってこと!」

「さ、鎖骨は?」

「それは喉と同じで『欲求』なんだって」

「そ、そっか……うん」

「ちなみに、私がしたいって言っていた『胸』と『腰』と『太もも』は、それぞれ『所有』『束縛』『支配』って意味でね……」


 私はすっかりドキドキしてしまって、そう説明する愛花の声がもう耳に入ってこなかった。


「ねえ愛花、……『口』は?」


 それは聞かなくてもわかる気がしたけれど、愛花はにこっと微笑んでまた私にキスをした。

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