雑な地獄棚

奴隷の矜持

　働くってのは素晴らしい。

　誰かの為に技術を使う、誰かの為に自分の力を発揮できる。最高じゃねえか。まったく、ニートっていう連中はクズばかりだ。あんなのはさっさと殺してしまえばいいんだ。

　労働は良いことじゃねえか。

　現場っていうのを誰も分かっちゃいねえよ。俺たちが生産性っていうのを作り出してるんだぜ？　なのに、俺たちの給料は総務やら何やらの楽そうな仕事をしてる連中と同じくらいだ。頭が疲れるって？　バカ言うな。そんなのは気合が足りねえんだ。

　あの人が誰かって？

　株主ってやつだとよ。いいよねえ、ああいう連中は、生まれた頃から金持ちなんだ。きっと現場に入りゃあ、役にも立たねえくせに、偉そうに。どうせ親のスネを齧って生きてるボンクラなのさ。取り柄がねえのさ、俺たちみたいに。

　え？　俺が何の仕事してるかって？

　この機械を組み立てる作業さ。大変だろうけど、慣れれば簡単さ。