この世界が終るまで

高ノ宮 数麻(たかのみや かずま)

この世界が終るまで

あきらめたらそこで終わり… なんて嘘っぱち


夜の時間が来るたびに 苦しくて 

眩しすぎる朝日に照らされるたびに 哀しくて

世の中が目まぐるしく動き回る昼間ほど 辛くて 

だから何度も 何度も 何度もあきらめたけど

結局 何も終わらなかった


夜の闇が深くなっていくごとに こころはつぶされ

黄色い太陽が昇るたびに こころは引き裂かれ 

多すぎる人ごみに こころは踏みつけにされ 

だから何度も 何度も 何度もあきらめたのに

結局 終わりは来なかった


この世界が終るまでは 何度あきらめても 

当たり前に今日が終り 当たり前に明日が始まる


だったら僕は あきらめることを あきらめることにしよう

そうしたら 今日はちょっとだけ ほんのちょっとだけど 僕は強くなれる気がする


明日になったら 多分 僕はまた弱くなる

でも 明後日は またちょっとだけ強くなれるかもしれないから

この世界が終るまでは あきらめることを あきらめることにしよう


あきらめることを あきらめられたなら 

深すぎる夜の闇も 眩しすぎる朝日も 僕を焦がし続ける昼の雑踏も

すこしづつ好きになっていけるかもしれない


この世界が終るまでには 

僕はこの世界を好きなっていたい











  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

この世界が終るまで 高ノ宮 数麻(たかのみや かずま) @kt-tk

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ