第12話 平成セブンについて①

「あれ? 帰ってきたウルトラマンじゃないの?」と思われるかもですが、そうです。ウルトラセブンの外伝、番外編も語っていこうかなと。

 ウルトラセブンの回でも書いたように、セブンには外伝作品が存在します。


 その一つ、平成セブンシリーズとは当初はテレビスペシャルとして制作されたものです。従来のウルトラシリーズとは異なりウルトラセブン以外のウルトラマンは地球にやってきていない、ウルトラ警備隊も解散せずに健在という一種のパラレルワールドとなっています。

 一作目は「太陽エネルギー作戦」というタイトルで、この作中にはウルトラマンに登場する怪獣のデータが出てきていますがまぁこれはファンサービスじゃないですかね。実際、ウルトラマンに出演した黒部進氏らが全くべつの役で出演していますし。

 この作品ではエレキングとそれを操るピット星人が現れます。


 その他にもウルトラ警備隊で仲間だったフルハシ隊員が隊長になっていたりヒロイン・アンヌが結婚して子供がいたりと時代は流れたというのを感じさせる作りではありますが、本作、ちょっと評価は芳しくないようです。

 まぁこれに関してはそもそも平成セブンシリーズ自体の評価が……というのにも繋がりますが、太陽エネルギー作戦に関してはアンヌが終盤、セブンのことを「セブン」と呼ぶから見たいなことを聞いたことがあります。

 アンヌたちはセブンがモロボシ・ダンであることを知っているのだからという理由らしいですが、いうて僕は当時4歳。どんな感想が出てたのかは知りません。

 あ、ちなみにアンヌの息子の名はダンです。


 さて、そこから二作目、「地球星人の大地」という続編が出ます。

 こちらではメトロン星人が登場し、地球人は果たして地球にふさわしいのかという問答を向けてきます。

 まぁでも、視聴した僕の感想をいうといつもの侵略者のおべんちゃらでしたけど。

 太陽エネルギーも地球星人もセブン特有のメッセージ性を強く持っていますが、それを語るのがなんといいますかかつて地球を侵略しにきた連中でして……こうぶっちゃけた感想を言うと「説得力がない」ってなるんです。


 特に地球星人ではメトロン星人が地球人はゴミで地球を汚すだの言うんです。これは当時の社会問題に沿った問題提起なんでしょう。メトロン星人はとある登場人物を誘い、エコポリスというものを見せます。そこは太陽エネルギーだけで都市機能を賄えるというものなんです。

 まぁこれは恐らく本当なんでしょうけど、結局はメトロン星人は地球人を滅ぼして支配者になり替わろうとしていただけなんですけどね。

 この回のラスト、ウルトラセブンはメトロン星人を倒すのですが、エコポリスの爆発に巻き込まれ行方不明となります。

 そして……。


 ウルトラセブン30周年三部作というビデオ作品でセブンは復活しますが……すみません、見ていた記憶はあるんですが、なぜか記憶に薄いんですよねこれ。

 むしろこれの存在知らなくて、先にこれの続編であるウルトラセブン1999最終章六部作を見ていて……そしてその流れでエヴォリューション五部作を見ているんです。

 なのでカザモリという人物がいきなり死んで、そしてセブンが彼の姿を借りるという展開が凄い唐突でびっくりした記憶がありました。

 そりゃ見てなきゃわかないよね!

 カザモリという人物はウルトラ警備隊の新人隊員で、この平成セブンシリーズでは主人公のような立ち位置にいます。

 なので、この1999以降はセブンはカザモリという人物として行動することになります。

 しかもあのフルハシも死んでしまうんです……彼はのちに大きな役割を背負うんですが……うーん。


 とにかく、この平成セブンの肝ともいえる部分には「地球人の罪と罰」というものがあり、最終的にはテレビ版セブンに登場したノンマルトという種族との因縁があるんです。

 ただこれ、僕からすると結構唐突でして、それまで一切そういう展開がなく、新しい侵略者たちをウルトラ警備隊とウルトラセブンが撃退する話から一転して「地球人は侵略者である」という部分がクローズアップされるんですね。

 いや、一応伏線はあったんでしょう。でも、やっぱり唐突感は強いですねぇ。

 ただ個別エピソードそのものはかなり評価が高いんですよね。SF短編、セブンという作品の一エピソードとしてならというものでしょうか。

 キングジョーの復活や、良い宇宙人と悪い宇宙人といった関係性も出てきたり。


 あと作中でフレンドシップ計画というものが出てくるんですが、これは地球が他の惑星に対して先制攻撃を仕掛けるというオイオイな内容なんですね。

 それと1999という作品自体がどうにもこう、ウルトラ警備隊が無能と言いますか、役立たずな扱いを受けてるような気がするんですよね。

 いいようにやられているというか、地球防衛軍が無茶をするせいでそのあおりを受けているというか。

 このシリーズにおける地球防衛軍はちょっとタカ派過ぎるというか、一周回ってただのテロリストだろって思う部分がちらほら。


 さて、前述したノンマルトについてですが、テレビ版セブンにて登場したノンマルトという種族。いきなり「俺たちが地球の原住民だ、今いる人類は俺たちの星を侵略してきたんだ」ということで攻撃してくるんですね。

 んで、テレビ版では無事撃退されるんですが、その時セブンは「僕たちの星では地球人のことをノンマルトと呼ぶ」と言って話が終わります。

 それが平成になってぶり返すというか、また同じことをするわけです。


 ウルトラセブン1999の最終章にてそのことが追及されます。

 オメガファイルという人類にとって知られてはいけない記録が残されたデータの開示をめぐってノンマルトが再び襲ってくる。

 なんですが……はっきりと言いましょう。


 まわりくどい!


 いや、やりたいことはわかるんです。でもね、まわりくどいんです!

 しかもやっぱり脚本の段階でまずいと思ったのかノンマルト側が露骨に怪しい行動しかしないんですよ。

 作中で件のオメガファイルを公開することになるんですが、そのオメガファイルというのが死んだはずのフルハシで、彼はノンマルトの技術で過去にタイムスリップし、彼らの言う人類侵略の生き証人として数万年保存されていたという設定です。

 うん、ここは良いんです。で、この後色々とあって全宇宙に公開するって流れで、ノンマルトが妨害に来るんですよね。

 ノンマルトは公開しろと迫ってきたのにいざ公開しようとすると邪魔をしてくる。

 もうこの時点で、こいつらが嘘ついてるじゃん! ってなりますよ。


 でも、なぜかそうはならずにウルトラセブンは宇宙の掟を破ったということになり、罰せられるそうです。

 宇宙の掟。侵略者の味方をしてはいけないというものらしいんですが……なんかねぇ?

 じゃあ今まで侵略してた連中はどうなるの? こいつらの種族、もしくは個人は罰せられないのか? そもそもそんな掟があってなぜ他の侵略者はわが物顔でやってくる?

 一つ壮大な設定を作ると、細かい部分で崩れてしまうと思うのは僕だけだろうか。

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