第11話 ウルトラセブンについて

 ウルトラシリーズの二作品目。今なお根強い人気を誇るのがこのウルトラセブンでしょう。この作品は単独の外伝をいくつも持っていて、さらにはその息子が主人公に抜擢されるなどウルトラマンたちの中でも別格の扱いではないでしょうか?

 初代ウルトラマンが対怪獣という部分(宇宙人もいましたが)がメインに対して、ウルトラセブンは対宇宙人であるといえましょう。


 これは有名な話だと思いますが、ウルトラマンとウルトラセブンは当初シリーズ同士の繋がりはなく全くの別番組であったというもの。このあたりは実際に円谷の会議とかでどう話し合いが行われていたのかは知る由もありませんが、視聴者にとって「ウルトラシリーズ」とまとまったのは帰ってきたウルトラマンからではないでしょうか。


 まぁ、そういう背景もあってかウルトラマンとウルトラセブンは世界観が大きく異なる点も多いのです。というか、ウルトラマンという作品においてシリーズ間の繋がりは結構あやふやと言いますか、防衛隊が毎回変わっていたりするのでここはもう暗黙の了解みたいなのもあるでしょう。


 話がそれましたね。ウルトラセブンはウルトラマンとは違い、怪獣を連行するとか宇宙人を追ってとかではなく観測員という立場にいる人物だったようです。

 その時に立ち寄った地球と地球人に彼はほれ込み、彼らを害そうとする侵略宇宙人たちと戦うことを決心しました。

 しかも彼は地球人に憑依するわけではなく、地球人の姿を借りることで「モロボシ・ダン」という風来坊として活動しています。


 その後、ウルトラ警備隊と出会い、隊員として活躍していくというのが第一話の流れですね。

 またウルトラセブンは対宇宙人に重きを置いているという点で面白いのは毎回多様な宇宙人が等身大で現れて、暗躍するということです。彼らは最終的に巨大化したり、もしくは独自で育て上げた怪獣、ロボットを駆使して地球を襲います。


 ウルトラセブンは明確に「地球は宇宙人に狙われている」という世界観があります。彼らがなぜ地球を襲うのかについてはそれぞれに理由がありますが、いずれかの書籍では地球という場所が星間戦争において重要な地点になるとかなんとか。

 これに関しては実際に書かれた書籍を見たことがないので、人づてになりますが、まぁそういう理由があるのだろうということで僕は納得しています。


 そんなウルトラセブン。前作ウルトラマンとは見た目ががらりと変わります。まぁウルトラマンもAタイプとかCタイプとかスーツが変わっていますが、そういうレベルじゃなくてさっそく別人ですね。

 角ばった目に、胸にはカラータイマーではなくプロテクター、特徴的なのは頭部のアイ・スラッガー。ちなみにアイス・ラッガーと勘違いしている人も多いようです。

 このアイ・スラッガーはブーメランのように飛ばしたり、手持ちのナイフのように使い、セブンを代表する装備となりました。

 このアイ・スラッガーは後々のセブンタイプのウルトラマンにも受け継がれてゆきます。

 またセブンには明確な活動限界がないように描写されています。近年では三分間縛りもありますが、セブン放送初期はなかったんじゃないかなぁ。


 またメカニックに関してものちの基盤を作ることになったのではないでしょうか。前作ウルトラマンでは万能戦闘機ジェットビートルが登場しました。あちらも魅力あるメカでしたが、ウルトラセブンではウルトラホーク1号、2号、3号と戦闘機だけでも三種類。しかもウルトラホーク1号は三機に分離合体できるというちびっこの心をがっちりわしづかみするような機能まで搭載しています。


 他にも敵である侵略者たちも多様といいますかユニークでして、邪悪な侵略者であるのが大半なのですが、時には侵略者ではなく結果的にそうなってしまった者たち、自らを地球の原住民と名乗り、今いる人類こそが侵略者であると攻撃してくる者たち、または綺麗だからコレクションしだいだけという者たちもいました。

 中には地球人が犯してしまった罪の象徴たる怪獣もいましたね。


 単純な侵略者ではない敵というものはウルトラセブンの時点で試行錯誤され、これものちのウルトラマンシリーズに大きな影響を与え、そして多くのファンを作ることにもなったのでしょう。

 一概に正義とはこれであるという一極化をするのではなく、この視点においてはどうだ、果たしてその選択は正しいのか。


 ですがウルトラセブン本編においてこれらの問いかけは、あるにはあるのですが、じゃあこうであるという答えは……なかったんじゃないでしょうかね。

 単純に答えが出せないというのもあるでしょうし、むしろ答えを出すことが答えではないという感じなのかもしれません。

 僕たち地球人は地球を守るためならば、何をしてもいいのか? たとえ、他の惑星や生物を破壊してもいいのか?

 ウルトラセブンは語ります「血を吐き続けるマラソン」であると。

 彼はたぶん、どんな時でも、地球を守ってくれるんじゃないでしょうか。それが、果たして良いことなのかどうかは……わかりませんね。


 さて、そんな我らがモロボシ・ダンことウルトラセブン。彼、結構お茶目と言いますか、抜けてる部分も多いんですよね。美女に弱かったりします。しかもやたら変身用のウルトラアイを盗まれたり、なくしたり。

 そうしてウルトラセブンが戦えない間に、活躍するのがカプセル怪獣たちです。これもまた斬新な設定ですよね。今でこそ人類に味方する怪獣というのは数多くいますが、こうして主人公が使役するというのは全体を通しても珍しいでしょう。

 ロボット怪獣ウィンダム、牛のようなミクラス、恐竜のようなアギラ。

 しかし、彼らは弱い。いえ、一時的に敵を圧倒することもあるのですが、弱点があって、それをつかれるとあっさりと敗退します。


 ウルトラセブンには名シーンが多いという評価もあります。例えばウルトラセブンがガッツ星人という敵に敗れ、磔にされたとき、防衛隊であるウルトラ警備隊は決死の作戦で彼を救いました。

 メトロン星人との闘いではまず、ダンは敵であるメトロン星人となぜかちゃぶ台を挟んで問答するんですよね。そして夕日の街を舞台に戦います。

 人気の高い怪獣であるキングジョーという存在もいますね。分離変形するロボット怪獣でその後のシリーズでもなんやかんや出てきます。 

 そして有名すぎてほぼ必ず語られる回。ギエロン星獣という怪獣が出てくる回では地球人は新兵器の実験と称して生命体の存在しない星を破壊します。ですが、その星にはギエロンが住んでいて、この怪獣は地球に襲い掛かるのですが……ここで有名な「血を吐き続けるマラソン」という言葉が出てきます。

 そして最終回では、セブンは度重なる激闘のせいで、体調不良に陥ります。その際のセリフは結構有名かもですね。

 ダン=セブンはそこで仲間であるアンヌに自らの正体を明かし、最後の戦いに赴くのです。敵はパンドンと呼ばれる怪獣。セブンは本調子ではなく、苦戦を強いられます。

 アンヌより、セブンの正体がダンであると知ったウルトラ警備隊は仲間を助けるために果敢に挑み、セブンは激闘の末パンドンを倒し、地球を去るのでした。


 ウルトラセブンの魅力を語らせたらうるさいぞって人は多いでしょう。それほどまでにウルトラセブンは別格の人気を誇っているのだと思いますが……実は僕はテレビシリーズのウルトラセブンを見たのが遅かったというか中学に上がってから、しかもテレビシリーズを見る前に「平成ウルトラセブン」を見てしまっていて、どーしてもそっちの方の印象が強いんですよね。

 平成セブンに関してはまた別個で語りたいと思いますが。


 セブンは特にメッセージ性の強い作品ではないでしょうか。

 時に地球人をおろかに描くシーンも多々あります。ですが、地球に危機が迫り、敵が強大であった場合、僕たちは地球の軍事力を増強することに果たして反対できるだろうか?

 地球は狙われている。その言葉の通り、セブン本編は多くの侵略者が直接的、間接的に襲ってきます。時には侵略ですらないこともあります。

 セブンはそんな複雑な事情の中、ボロボロになるまで地球のために戦ってくれたのです。

 そんなセブンに僕たち地球人が報いてあげる方法って、なんでしょうね?

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