第15話 膝枕
「さ、西園寺?」
メイドがドアを閉まると同時に西園寺が抱きついてきた。甘い匂いと顔に押し付けられる胸の弾力と西園寺の熱を帯びた華奢な身体に心地良く感じる。
「イチャイチャするっていったでしょ?べ、別にゆうくんが私としたそうだったからやってあげてるだけだから」
「俺は別に」
「何?私とじゃ不満なの?」
胸に顔を押し付けられているので呼吸するにも一苦労だが、西園寺の胸の柔らかさと良い匂いに顔を離すことは出来ない。
「い、いえ」
「ならゆうくん私と何したい?」
「......」
「やっぱり、長峰さんとが良いの?」
返答に困っていると西園寺が俺を顔の近くに引き寄せてジト目で睨んできた。
「西園寺の方がいい」
西園寺の圧力に思わず選んでしまった。それにここは穏便に従っていた方が良いだろう。
「よ、良かった。ゆうくんは私が1番よね。知ってる」
何か勘違いしているようだが。本人が嬉しそうならそれで良いか。
「それで私と何したい?」
「えーと、膝枕とかかな」
何か言わないと治ることはなさそうなので西園寺の要望に答える。
「そう。ふーん私に膝枕して欲しいんだ。ならしてあげる」
そう西園寺が言うと正座になり、膝を叩いてこちらに来てという合図を送ってきた。
「横になって」
俺は西園寺の膝枕に頭を乗せて横になった。普段使う枕とは全く違う包容感があり、目を瞑ったらそのまま寝てしまいそうな安心がある。
それに西園寺はスカートなこともあって、生足とスカートの境目が気になってしょうがない。上を見ると西園寺が頬を染めて荒い息を吐きながらこちらを見つめている。
「痛くない?」
「ちょうど良い」
「っっん」
西園寺は嬉しそうに微笑み。頭を優しく撫でられる。
「ゆうくん気持ちいい?」
「うん。西園寺上手いな」
西園寺の手が優しく髪に絡まれてとても気持ちいい。
「えへへ。前にゆうくんにしてあげたから」
「そうなのか?」
「うん」
「記憶なくした覚えはないんだが」
「ゆうくんは記憶喪失だよ。だって私と付き合っていた記憶がないんだもん」
「本当に付き合っていたのか?」
「もう!ゆうくんはダメだよ!ちゃんと覚えてなきゃ!私とゆうくんは付き合っていたの!」
「そうか」
話している間にもやめないで撫でてくれる。西園寺に撫でられるとずっとこのままでも良いかと思ってしまい他のことはどうでも良く思ってしまう。
「ゆうくんは他の人に迫られても拒否できる?」
「どうしたんだ急に」
「どっち」
「できないかも、、、しれない」
メイドや黒崎のこともあって、もしまた迫られたら拒否できない。
「くず」
「ゆうくんの、女たらし」
「ち、ちがっ」
「違くない。ゆうくんは女の子に迫られても受け入れて色んなこともやっちゃうでしょ!」
「いや、恋人にならないとしない」
「嘘。ゆうくんは嘘つき。だったらゆうくん...。キスしていいよね?」
「えっ。なんでそういうことになるんだ」
「ゆうくんの頭撫でていたら私、我慢できなくなってきちゃった...。それにゆうくん酷いから、私でゆうくんを塗り潰したい」
「......」
「ゆうくん大好き...」
西園寺が俺の唇へと顔を近づける。甘くとろけそうな目で息が上がっていて少し緊張しているようだ。あと少しで西園寺の唇と俺の唇が触れ合う時、どこからか変な声が上がった。
「んっっっっ!!!あっっっっん!ゆ、ゆう様、ゆう様、ゆう様。あっーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!」
トイレの中から物音が激しく、メイドのいやらしい声が部屋中に響く。
「ゆう様ダ、ダメですっ。そ、そこはさすがに、んっっっっ!!ゆう様ゆう様ゆう様ゆう様ゆう様ゆう様ゆう様ゆう様ゆう様ゆう様ゆう様ゆう様ゆう様ゆう様ゆう様ゆう様ゆう様ゆう様き、今日は激しいです」
「ねぇゆうくん何とかしてくれない?」
触れ合う寸前に雰囲気もぶち壊れてしまいキスをするよりもメイドを何とかしないといけないと思った。
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