第21話

僧侶「……離れてる」


氷幼女「どうしたのじゃ?勇者よ」


魔法使い「ボクがおかしいのかなぁ……いやそんなはずは……」


勇者(こういう展開を期待してなかったといえば嘘になるが……)


勇者(なんだろう、なにか違う)ゴシゴシ


僧侶「……体、洗おう」ザパァ


氷幼女「そうじゃなぁ、ずっと浸かっておってもしかたない」ザバ


勇者「……っ!!」


魔法使い「……」ギロリ


勇者(……殺気で動けねぇ)



氷幼女「……僧侶の胸は、随分柔らかいのう」ふにふに


僧侶「……くす、ぐったい」


氷幼女「わらわの場合、サイズは変えられても柔らかくはないからのー」


氷幼女「衝撃とか受けるとき便利そうじゃなー」もみもみ


僧侶「あ……う」


魔法使い「……ぬぬぬ」


勇者「……あつっ!?」


魔法使い「ボクハ……ボクハ……」


勇者「お、おい。大丈夫か……?」


魔法使い「……きゅう」


勇者「……っ!」バッ


氷幼女「うお、なんじゃ?」


僧侶「……のぼせた?」


勇者「全く何してんだ……」


魔法使い「……きゅぅぅ」


勇者(完全に伸びてるな……相変わらず絶壁なこった)


勇者「よいしょっ、と」ザパン


勇者(……軽いな、こいつ。こんな軽い体であんな武器振り回してたのか……)


勇者「少し頼み事していいか?」


氷幼女「なんじゃ?」


勇者「涼しい風を送ってやってくれ。湯冷めしない程度のやつ」


氷幼女「おお、注文が多いの。高く付くぞ?」


勇者「よろしく頼む」



魔法使い「ん……んん」パチリ


魔法使い「あれ、ボク……」


勇者「よかった、起きたか」


魔法使い「勇者……?」


魔法使い「っ!!!!!」


勇者「おい待て、ちがっ……」


魔法使い「へんたい!へんたい!へんたい!へんたい!しんじゃえ!ばか!」


勇者「うぼあっ……」



魔法使い「……ふぅ……ふぅ」


勇者「……気は済んだか?」


魔法使い「……ボクの裸、見たの……?」


勇者(どっち答えても地獄しか見えん……が、嘘をつくよりは……)


勇者「……あぁ、見た」


魔法使い「……どうせ、絶壁だったとか……思ってんでしょ?」


勇者「……あぁ」カッパーン


魔法使い「……僧侶ちゃんみたいに、胸大きくないし……」


魔法使い「氷みたいに、綺麗な肌もしてないし……」


魔法使い「……期待はずれだったでしょ」



勇者「……別に、期待外れとか思ってねぇよ」


魔法使い「嘘だ」


勇者「いや、そりゃまぁ。僧侶の胸はなかなかだし、氷はすっげー白い肌してるけど」


魔法使い「……」


勇者「お前にはお前のいいとこあるんだから、そう悲観的になんなって」


魔法使い「……なにさ」


勇者「え?」


魔法使い「ボクの女の子的にいい場所って、どこさ!」


勇者(なんか今日は妙なとこで突っかかってくるな)


勇者(……こっ恥ずかしいが仕方ねぇか)


勇者「お前さ、自分で自分のこと可愛くないとか思ってるだろ?」


魔法使い「……当たり前じゃないか」


勇者「何言ってんだよ。十分、可愛いっての」


魔法使い「……」


勇者「はしゃいでる姿とか、かなしそうな横顔とか、少し怒った表情とか」


勇者「ぜーんぶ含めて可愛いっての」


魔法使い「……」ポカーン 「……え?」


勇者「あの時、守ってやるって言ったのに通じてなかったのか?」


勇者「俺は……」   「こ、こら!押すでない……」 「……見えない」


勇者「……」 魔法使い「……」



勇者「……」ガララ


氷幼女「……」 僧侶「……」


勇者「あまりいい趣味とは言えないな」


氷幼女「な、なんのことじゃ?わらわ達は着替えをじゃな……」


僧侶「……ごめん」


氷幼女(こ、こやつめ……そういう手を使いよるかぁっ!)


氷幼女「……じゃがわらわは謝らない」


勇者「……まぁ、聞かれて困る内容でもなかいっちゃないが」


魔法使い「ねぇ、勇者……」


勇者「さて、湯冷めしたらまずいし俺も上がるかー、ははは……」


魔法使い「……むぅ」


氷幼女「さて、わらわたちも……」ガシッ 僧侶「……うん」ガシッ


魔法使い「お、ま、え、ら……許さないぞ!」ドタン バタン


勇者(……顔、赤くなってないかな。あー、恥ずかしい)



氷幼女「……正直、すまんかった」


僧侶「……ごめん、なさい」


魔法使い「……まぁ、別にいいけどさ……勇者の言葉が気になるんだ」


氷女王「あの感じ的に、どう考えてもす「わーわーわー!!!」


魔法使い「……やっぱり、そうなのかな……?」


僧侶「……十中八九」


魔法使い「……」ポー


氷幼女「逆に今更確認することか?」


僧侶「……いまさら」コクコク


魔法使い「……え」


氷幼女「好きなら好きと言えばよかろうに、じれったいことこの上ない」


魔法使い「な、ななっ、なななっ……」


僧侶「……ちがうの?」


魔法使い「……ボ、ボクは……あ、あんな奴……」カー


僧侶「……嘘」ジトー


魔法使い「……うぅ」


氷幼女(素直じゃないのう、人間というのは……)




勇者(少し風でも浴びるか……)


考古学者「お、ちょうどよい所に」


勇者「ん、なんだ?」


考古学者「……なに、少しお話をと思いまして」

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