第20話

勇者「今回は、ちゃんと服買ってからいけよ」


魔法使い「……あ」


勇者「やっぱり忘れてやがったな、こいつ」


僧侶「……勇者」


勇者「ん?どした」


僧侶「……お金、大丈夫?」


勇者「あー、そのことなら心配するな」


氷幼女「……」


ーーーーーーーーーーー


森林王「選別だ、受け取れ」


勇者「これは……」


森林王「我々が持っていても仕方ないものだからな」


勇者「今までに挑んできた冒険者たちから奪ったもんだろ?」


森林王「受け取らぬなら捨てても構わん」


勇者「……」


勇者「……いや、受け取るよ。ありがとう」


ーーーーーーーーーーーーーー


氷幼女「……見ざる、言わざる、聞かざると言ったところかのう」



魔法使い「自分で服を選ぶなんて久しぶりだなぁ」


僧侶「……そうなの?」


魔法使い「貧乏旅が長かったからね……服の替えなんてほとんどなかったし」


魔法使い「そう考えると、結構酷い生活してるなぁ、ボク」


魔法使い「……まぁ、それ以上に楽しかったから気にしてないけど」


僧侶「……ふむ?」



勇者「……」ジー


氷幼女「む、防具屋など眺めてどうしたのだ?」


勇者「……盾でも買おうかと思ってな」


氷幼女「盾、か……必要あるのか?おぬしに」


勇者「すぐやられちまうからいらないと思ってたが」


勇者「……何も出来ずに突っ立ってるよりはましかなって」


氷幼女「ふん、宝の持ち腐れになるだけじゃろ」


勇者「んー、やっぱそうかな……いや、買おう」チャリーン 「毎度ありー」


氷女王「皮の盾、とはのう……いまさらスライムの体当たりでも防ぐ気か?」


勇者「ほっとけ」



魔法使い「よーし、この服にしよう!」


僧侶「……不思議な服」


魔法使い「これは魔法服っていってね、魔力を増幅させる文字が刻んであるんだ」スリスリ


魔法使い「滅多に置いてないんだけど……ここには職人さんがいるのかな?」


僧侶「……私は、これでいい」スッ


魔法使い「へー、みかわしの服かー……それ胸元すーすーするから苦手なんだよね、ボク」


僧侶「……この服、暑い」


魔法使い「あー、確かに。僧服って布がやたら厚いよね」



魔法使い「……あ、勇者ー」タタッ


勇者「お前らも買い物終わったのか?」


魔法使い「うん……って、勇者。その盾……」


勇者「ん、あぁ……これか。まったく意味は無いぞ、自己満足だ」


勇者「それより、服は見つかったのか?」


魔法使い「それがねそれがね!魔法服あったんだよ、魔法服!」


勇者「へー……ここにも職人がいるのかね?故郷を思い出すな」


魔法使い「でしょでしょー」



魔法使い「さて、今日は何の心配も無くお風呂です!」ぬぎぬぎ


僧侶「……おー」ぱさ


氷幼女「……なんでわらわまで……」


魔法使い「細かいことは言わない言わない、あなただって汗たくさんかいたでしょ?」


氷幼女「あれは溶け出てるんじゃが……まあよい、水風呂に期待するかの」


ガララ


勇者「……?」


魔法使い「……へ?」


僧侶「……?」


氷幼女「なんじゃ、勇者。今日はおぬしも一緒なのか?」




勇者「……話聞く前に手を出すなっての……」ズキズキ


僧侶「……だいじょうぶ?」


魔法使い「露天風呂なんて言うから期待してみれば……混浴なんて聞いてないよ!」


勇者「俺も聞いてないんだが……」


魔法使い「そういう問題じゃないっ」


僧侶「……とりあえず、入ろう」


氷幼女「水風呂はこっちかの?」スタスタ


魔法使い「……」


魔法使い「いや、なんでそんなに落ち着いてるの?」


僧侶「……だってもう、今更」


氷幼女「わらわは元より気にしとらんしな」


勇者「いや、お前ら……」


僧侶「……ふー」


氷幼女「お、水風呂があるとは、分かっておるのう!」ザプン


魔法使い「……ふん」ツーン


勇者「おかしいだろ、どう考えても」


僧侶「……?」


氷幼女「今日は勇者も一緒に入る日なのであろう?何がおかしいのじゃ」


魔法使い「ボクはおかしいって分かってるよ!」


魔法使い「でも……この状況で一人だけ戻るのもなんかおかしいし……」


魔法使い「……うー」

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