第4話 kuso小説の十ヶ条  発動編

 さて、それでは自分が直近に書き上げた【焼きたて!餃子マン!!】という作品を例にしてkuso小説の十ヶ条を解説していきますね。


 ちなみに、【焼きたて!餃子マン!!】(https://kakuyomu.jp/works/1177354054893852538)とは、本物川小説大賞の亜種特異大賞として開催された第一回こむら川小説大賞(https://kakuyomu.jp/user_events/1177354054893286563)の参加作で、締め切り寸前に1時間半で焼き上げた作品です。

 この直前まで真面目な作品を書いていた反動なのか、何も考えずに手癖で書いていたらkuso小説になってしまいました。

 そして真面目な作品よりも評価が高いという謎。解せぬ。



 とりあえず、説明の前に【焼きたて!餃子マン!!】を一度読んでみてください。3000字ほどの短い作品なのでさっと読めるはずです(自然な流れのPV稼ぎ)。


 読んでいただけましたか?

 それでは、まずは作品タイトルと話のタイトルに注目しましょう。


作品タイトル:『焼きたて!餃子マン!!』

話のタイトル:『ピンチ!餃子マン逮捕寸前!!』


 kuso小説の十か条その七『最初に強いインパクトを与える』ですね。

 タイトル名からして「そ○いけ!○ンパンマン」のオマージュというのは分かりますが、話のタイトルが逮捕寸前です。

 まだ餃子マンがどんな物なのか分かっていないにも関わらず、餃子マンという存在が窮地に陥っている事を突きつけられる。大半の人が首を捻る事間違い無しですね。

 人によってはこの時点で(これは不真面目な作品か…)と判断して読むのを止める場合もあるでしょう。全然構いません。むしろそれが狙いです。

 自分に合わない作品を無理やり読むのは大変ですからね。逆に合う人はこれですんなりと入れるはずです。




 次に、作品タグを見ます。


タグ……餃子、メスガキ


 kuso小説の十か条その四『読者が予測不可能な展開やキャラを出す』ですね。

 餃子マンというタイトルからして餃子のタグは分かりますが、メスガキってなんだよ。なんで餃子とメスガキなんだよ。どういう話だよ。ってなります。

 そうやって、『どうしてそうなるんだよ』と思わせたら勝ちです。全然予測が出来なくて気になって読んじゃいますよね。それでいいんです。

 ちなみに、タグは作品を書き終えてから付けたので、書き始めた時点ではメスガキが登場する予定はありませんでした。kuso小説の十か条その三『プロットは練らない』ですね。




 そして本文ですが、最初の二行が


『 ここはヤムチャランド。

 古今東西の蒸し器で蒸す中華料理の集まる共和国です。 』


もう分かりますね。kuso小説の十か条その六『細かい説明はしない』です。

 ヤムチャランドについて「古今東西の蒸し器で蒸す中華料理の集まる共和国」とは説明していますが、どんな国なのか全く分かりません。

 そもそも蒸し器で蒸した中華料理が全て飲茶な訳では無いですし、中華料理ってことは中国が存在する世界なのか?という疑問だらけですが、舞台をヤムチャランドという謎の共和国にする事で餃子マンとかいう全く何も分からない存在についても『なるほど、ヤムチャだから餃子か…』となんとなく納得させる事が出来ます。よくよく考えるとおかしな点だらけですが、細かい説明はせずに押し切るんです。大丈夫です。自分にも分かりません。




 次は少し飛んで、


『 餃子マンは腕に当たる柔らかい感触に緊張し、インエクスペリエンス男性特有の挙動を見せます。』



 これはkuso小説の十か条その九の『独自言語を作る』ですね。

 餃子マンが童貞臭いムーブを見せる場面なのですが、ここで『童貞特有の』と書いてしまってはややトゲがある言い回しになりますし、なにより現実臭さが出てしまいます。

 ヤムチャランドというなんとなくファンタジーな世界が舞台なので、ここではなんとなくそれっぽく幻想的な言い方をした方が雰囲気が出ますよね?

 なので、『童貞 = 未経験 = インエクスペリエンス』という事で、『インエクスペリエンス男性』という独自言語を作りました。

 ちなみに、チェリーの名前は考えるのが面倒なので童貞チェリーボーイから取ってます。メスガキなのにチェリーボーイ?意味深ですね?意味深です。




 また少し飛びまして、


『バタン




~~~~~~~~暫くお待ちください~~~~~~~~




バタン』



 少し分かりにくいですが、kuso小説の十か条その八の『クライマックス前まで休ませない』になります。

 餃子マンは3000字程の短編なので、半分よりやや手前ぐらいからクライマックスに入れました。短編はスピードが命だと自分は思っていますが、この辺りの創作論は他の人のを見た方が参考になるでしょう。

 そして読者を怒涛の謎展開のい急展開から休ませるにしても、単に区切りを付ければ良いというだけでなく、続きが気になる形で区切りを付けると最後まで読んで貰えたりします。

 休んで貰いながらも(続きはどうなるんだろう?)という期待感を煽りましょう。

 直前直後の描写からしてラーの付くホテルのドアが閉まる音と開ける音なんでしょうが、餃子とメスガキがラーの付くホテルで何をするでしょうね。児ポ的にアウトなんじゃないんですか?ヒーローとしてどうなの?でも大丈夫。餃子です。セーフ!




 後はこんな感じで最後まで一息に書き上げます。

 そうする事で残りの十か条もクリアーします。


 ※残りの十か条

 kuso小説の十か条その一『完結している事』

 kuso小説の十か条その二『テーマを決めたら一気に書き切る』

 kuso小説の十か条その五『だいたい喜劇』

 kuso小説の十か条その十『自分が楽しんで書く』


 はい、これでもう皆さんkuso小説の書き方が分かりましたね。

 では、最後にまとめに入りたいと思います。

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