第2話 戦闘民族

繁華街で週6日過ごす毎日。


好きなスタイルのファッションに身を包み

大きなゴールドのフープピアスをポタラと呼び

顔を隠すサングラスはスカウターと呼んだ。

いつも挙動不審。

いつもゾワゾワしていた。

電車には乗れなかった。

皆が自分を見てほくそ笑んでいるように感じた。

笑顔で人を迎えながら店にたって働きながら

いつも孤独だった。

心を開けるのはルナだけだし。

「友達」は沢山いた。

携帯のメモリだけは満たされていた。

その人たちの誕生日もうろ覚えだし

どんな物を好み何を感じ何を愛してるのかなんて知る由もなく興味すらなかった。

店を閉めて夜中に街を徘徊した。


タバコとウィスキーと財布をカバンに入れながら街を練り歩いた。


練り歩きながら誰とも目を合わさず息を殺し存在しないですよと歩き回る。

適当な店に入り酒を飲む。

酔えば平気で知らない人と会話した。

その場限りの「友達」を作った。

全くつまらないミュージックビデオをみんなで見ながら


酒で安定剤を流し込み

タバコとジョイントを交互に吸う。

知らない人とキスをして

そのまま知らない部屋へいき

何も感じないセックスをする。


空が明るくなった頃

知らない人の部屋を出てコンビニでビールを買いタバコを吸う。

通勤するサラリーマンに吐いた煙を手で払われながら


自分の存在を手で払われているような

虚無感や絶望感を味わう。


昨日のあいつ

名前なんていうんだ?


10分後にはそんな事すら考えなくなり

タクシーで自宅へ帰る。


私が身につけたポタラとスカウターは

一体なんの役目を果たしているんだろう?


何一つ測れずに

何一つ強くなれずに


ルナ、昨日の男の子すごく

乳首小さかったんだよ


笑いながら自宅に帰りルナにくだらない報告をした。


眠剤をバリバリと柿の種と一緒に貪りながら。

ウィスキーで流し込み気を失ったように眠った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る