第30話:ドイツで嫁さんとパンケーキで喧嘩する

パンケーキと聞くと皆さん、どんな物を思い浮かべます?

僕はふわっとした円形の焼き菓子だ。

このパンケーキは、どんなタイミングで食べますか?

3時のおやつ

僕はそう思っている

甘いし、お菓子。

そんなイメージを僕は31年間持っていた。

だが、ドイツ人、オーストリア人の言うパンケーキは…


これはパンケーキの認識違いが起きた時の話だ。

あれは…確か日曜日だ、朝起きて、コーヒーを準備し、朝ごはんのパンを用意し

嫁さんへ持っていく。

「おはよう、嫁さん、いきなりですが昼ご飯、何が良い?」と僕は聞く。

「パンケーキを頼もう」と一言、「カワイイな、分かった」と言い、下準備をする


パンケーキは簡単だ。

小麦粉に卵やベーキングパウダー、砂糖、牛乳、水等を混ぜて焼くだけだ。

ポンポン焼いて作って、嫁さんに持っていた。

嫁:「何これ?」

僕:「パンケーキだよ?」

嫁:「これは…パンケーキではない!!!」

僕:「ん??パンケーキだよ?」

嫁:「これはケーキ!」

僕:「えぇ…僕の知ってるパンケーキはこれだよ…」

嫁:「ジーシス!私が作る!」


何か機嫌悪いなぁー、感じ悪…程度に思いつつ、

自分で作ったパンケーキを食べながら、

余り気持ち的に良くないので癒し系のアニメを見てた。

(ああ、美味しい、メープルシロップが欲しい)

そんな事を思いながら完食。

数十分後、嫁さんから呼ばれキッチンへ。


キッチンには皿に盛られた何かがあった。

嫁:「旦那よ、これが、パンケーキだ」

そこにあったのは、クレープの皮を少し厚くした円形の物体だ。

僕:「これは…クレープの皮?」

嫁:「…これがドイツのパンケーキだ」

僕:「そうなのか…」

嫁:「そうだ、これがパンケーキだ」

僕:「ふーん…?」

嫁:「これからパンケーキと言ったらこれを作ってくれ」

僕:「分かった」

嫁:「取り合えず一口食べてくれ」

僕:「ああ…」

味がしない…甘くない…なんだこれは…例えるなら…ゴム。

僕:「あの…味しない…」

嫁:「そうだ、ジャムとかフルーツを付けて食べるんだ」

僕:「ふーん?」

ジャムを付けて食べてみたが、やっぱりジャムの味しかしない…

嫁:「どうした?美味しくないのか?」

僕:「うーん…ごめん、苦手、味のしない何かを具で誤魔化してて僕には合わない」

この一言が嫁さんの地雷を踏んでしまった…


僕達が喧嘩をすると、お互い負けん気が強い。

結果として、淡々と煽り、皮肉と嫌味を言う生産性の無い会話が続くのだが、

どっちも折れないから延々と続く。

心を理論的にへし折るか、諦めて折れるかまで、絶対に終わらない。

妥協点をお互い譲らない、喧嘩をすると仲直りが本当にし辛い。


嫁:「…旦那、ドイツのパンケーキをディスるとは良い度胸だ」

僕:「別に…?単純に僕の口に合わなかっただけじゃん」

嫁:「ふん、アメリカンなパンケーキは認めない」

僕:「カナダでもニュージーランド、中国、日本でもそうだったが?」

嫁:「ドイツとオーストリアではこれだスタンダードだ」

僕:「ただの拘りを押し付けられても困るよ」

嫁:「ドイツに住んでる以上、認めるんだな」

僕:「グローバルな世界で見識の狭い回答だな」

嫁:「これだから無知は」

僕:「無知だと知っていて、依頼するのは貴方の配慮不足かと?」

嫁:「そうだな、これからは自分で作る」


こんな感じだった

この後、滅茶苦茶空気が悪くなり、お互い引くに引けず、その週会話が無かった

結局、土曜日の昼に病院から戻り、僕が折れて抹茶パウンドケーキを作って食べさせて仲直りをしたという、喧嘩して仲直りすると甘々になるのは何故なのか。


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パンケーキ程度で喧嘩するカップルってそうそう居ない気がする…

ドイツのパンケーキには砂糖とベーキングパウダーが入っていない事だ。

ドイツ人はランチにパンケーキを食べ、翌日にひき肉を入れて巻き、

焼いた物を食べる。


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