第22話:ドイツの医者は鬱病をどう考えているのか

鬱病全般に言える事だが、

鬱病の治療は長いと言われる。

医者に聞くと、投薬とセラピーをして

軽度で有れば、1年未満

中度で有れば、5年未満

重度で有れば、5年以上

これだけ時間がかかるらしい。


日本とドイツで大きく違う点は、

・医者と患者のパワーバランス

・治療選択権は医師にあり


例えば、患者の治療意見だ。

「電気けいれん療法」

と呼ばれる治療法がある。

日本だと、保険適応外だが、治療として選択が出来る。

勿論、ドイツにもこの治療方法は存在する。

だが、ドイツでは患者は選べない。

条件が付けられる。


・2年以上の鬱治療

・3種類以上の抗精神安定剤を投与したが、効果が得られない

・重度の鬱病で日常生活が自分ではおくれない


この3つだ。

条件を満たせば、治療として選択が出来る。


入院時に嫁さんはこの治療を依頼したが、医者は首を縦に振らなかった。

「トライ出来る薬がまだある、それは最後の選択肢だから今は使わない」

こんな回答だった。

毎回言われたのはどの様に治療されるのかと副作用だ。

雑な言い方だが、頭に電気流して、脳を動かす。

副作用は「記憶障害」「吐き気」や「頭痛」だ。

僕には特に危機感を感じる物はない、早く良くなりたい。

だが、医者はダメだと言う。

何故、彼らはここまで嫌がるのか…当時の僕には理解できなかった。

合理的じゃないか。

鬱治療が数か月に短縮出来るだけでも、患者には喜ばしい。

何故なのか。


ここからは僕の推測。

「鬱病は心の風邪」と聞いた事はないだろうか。

あれは嘘だ。

鬱病は、「完治」しない。

鬱病は、「寛容」するしかない。

どんなに薬を飲んで、脳内の物質を出すようにしても、

思考や生活習慣等が同じだったら、結局、遅かれ早かれ鬱状態に戻る。

故に思考を変える為、カウンセリングがあり、

生活習慣を変える為、セラピーがある。

つまり「過去の自分には戻るのではなく、新しい自分を作る」事が前提だと思う。

だから、電気けいれん治療を断られたのでは?と考える。

正解かは分からないが、なんとなくそう思っている。


------------------------------------------------------------------------------------------------


考察系が増えた気が…

ドイツの病院生活が続いてますが、そろそろ1度目の退院です。


------------------------------------------------------------------------------------------------


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る