決着
「ーーーーー来い、無滅剣レイ」
地に手をかざすと魔力の粒子が立ち込める。
足元から剣が姿を現わす。
漆黒の夜を凝縮したかのような刀身に、闇を纏う不吉なオーラが漂っている。
オレは柄を掴む。
その剣は剣と呼ぶにはあまりに大きく、そして悪意に満ちている。
「見せてやろう、魔王と呼ばれたオレの力をな」
オレは一歩前に足を出す。
オレの前にあった空間が場所を譲るように優雅に歩く。
「っ!空間を支配しているのは俺だ!!もっと俺に力をよこせっ、クロノス!!!」
グリムは自分の闇色の身体に手のひらをめり込ませる。
すると、グリムの身体が膨れ上がる。
宙に浮き、身体が三つに分離する。
右手と顔と左手が宙に浮いている。
「空間ヲ司ル我ハ神デアル。キサマニ天罰ヲクダス」
力を吸収するあまり、意識が薄れクロノスの意識が表層に現れている。
グリムだった身体は見る影もなくなり、完全に体を乗っ取られている。
「哀れだな。オレの手で終わらせてやる」
「サセヌ。《空間固定》、《空間切断》、《空間圧殺》」
クロノスが魔法を放つ。
完全に身体を吸収しているため、力が高まっている。
歪んだ空間がオレに近づいてくる。
目には見えないが、凄まじい力を感じる。
今度は躱さなかった。
オレは全ての攻撃を剣の一振りで薙ぎ払う。
「ナ二ーーーーッ!?。ナンダ、ソノ剣ハ?」
神ともあろうものが驚きのあまりオレに訊いてくる。
オレは仕方なく応えてやることにした。
「無滅剣レイは全ての効果を無に還す剣だ。この剣の前ではあらゆるものが無に還り意味を成さない。無効化する剣というわけだ」
どんな魔法だろうとこの剣で切り裂けば無効化できる。
これがオレの持っている魔剣、その一本。
オレは一歩、また一歩とクロノスに近づく。
「アリエヌ、《空間固定》、《空間固定》、《空間固定》」
何度やっても結果は同じ。全てオレの一振りで無効化される。
「神になったところまではよかったが、相手が悪かったな。オレはーーー魔王。魔の王だ」
オレは無滅剣レイを振りかざし、振るう。
クロノスが真っ二つになる。
「ウウウウウァァァァァァァァァァァァァァアアアアアアアアアアアアッ!!!」
身体が消滅し空間に吸い込まれて消えていった。
後には空間神剣イペスだけが残った。
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