第5話 ルグニス協会

 ルグニス協会の待合室は、陽気な酒場のような雰囲気だった。酒こそ無いものの、円卓を囲む団体に依頼のビラを眺める鎧だけの男。皆がここへ同じ任務をこなすための仲間を探したり、仕事を探しに訪れた者だった。


 俺はその彼等の間を縫うように歩き、その奥の一間へと向かう。


 先の場所より人数(ひとかず)はまばらだった。


 ここにいるのは皆、俺と同じように初登録を希望する者。

 いくつかある木の長椅子には、人が一人ずつ座っている。


 全くもって無駄な備品の使い方だな、と思いつつ俺はそれを横目に仮受付へと向かう。


 対応をしてくれたのは少し年上のネイビー髪の女性だった。彼女は顔を合わせると慣れたように「こちらに名前を書いてお待ちください」とだけ言った。素っ気ない人だなと思ったが、ここに来る人は『信頼登録』以外目的もなく、また職を無意味に知らせるつもりはないため正しい対応なのかもしれないと思った。


 そうして待つこと約15分。

 名前が呼ばれ、俺は別室へと移動する。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る