第4話 信頼

 ――と、なるべき職が決まれば、やっぱ次はこれか。


 信頼:なし(未登録)


 スクリーンにあった『職業の手引き』というマニュアルによると、どうやら俺はルグニス協会に行って『信頼登録』をしなくちゃならないようだ。自分の足で依頼を得ることも可能で職によってはこの“信頼“はなくてもよいらしいが、俺がなろうとする執行人は国の役職。この信頼がどうしても必要らしい。


 たしか執行人は上位職だったから······信頼を80まで増やさなきゃならないのか。最初は傭兵や盗賊狩りとかその辺りの仕事になりそうだが、仕方ないか。


 死神というステータスを見せるのは躊躇(ためら)われるが、ルグニス協会の情報機密は絶対だと聞いている。基本一対一の登録制度に、情報漏洩による制裁――死にも等しい罰が与えられるスキルが職員にかけられているそうだ。


 それでもこの情報は漏れるんじゃないか······?


 そんな不安を疑ったらキリもないが、実際その制裁を受けた者もいると聞くから恐らく大丈夫だろう。いや、そうであってほしい。······まぁどう思っても、向かう以外に今は道はないのだが。もし万が一にも情報が漏洩し、たちまち怖がられるような噂が流布するとしても、その時はその時だ。


「仕方ないよなぁ」


 なんせ、


『この値が0になると貴方は消滅します。残り:63年分』


 俺の命はあと半日で、10年も進んでしまうんだから。

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