第5話あんたがたどこさ


ーーあんたがたどこさ、肥後さー肥後どこさ、熊本さ、船場山には狸がおってさ


煮てさ、焼いてさ、喰ってさーーそれを木の葉でちょいとかぶせ


手毬唄である「こんにちは、お嬢ちゃん何してるの?」


「父さんが教えてくれたんだ、父さんここで、働いてるから」


「へ~~え」


そういえば、ここはやけに子供の数が多いーーそれも、腕にあざとか、傷がある人が


「あ、ゆう何してるの?」「ねぇ、お姉さんどこから来たの俺ら

もともと本州にいたんだ

ーーでもって、本州はいろいろあㇾだった、「兄ちゃんーー俺らのかっけぇ「兄ちゃん」は、本州はいろいろある、ま、産まれが九州だからな~わっかんねぇとこもあるけどよとか、言ってた


ーーなぁ、姉ちゃんは「兄ちゃん」の言うこと信じるか?」


「--え、う、うん」


「兄ちゃん、かっこいいんだよーー俺らを解放してくれたんだ」

「そうだよ、僕らを助けてくれたんだよね~僕らの世話をしてくれるのもうまいし」


「よ、お前ら何してんの」

来たのは、第八支部紀結だーいつもは、「守り隊」という子供の育児をしている

(--今でいう保育士「みたいなもの)

それでも、元第一支部に経験と実績で、もう一つの団体をも、番を張れるだけの力がある

本人曰く、「落ちこぼれ」だけどな~だけど

「あ、兄ちゃん」

「父さん」

子供たちが駆け寄ってくるーー

「父さん、それは」「ああ、あいつの傷薬だーーちょっとあいつの面倒を見てくるからよ、わりぃな少し待たせるぜ」


中庭から、「小さい棟に行くーーそこには、ベッドの上に少女がいる

「ひっ」


顏の左半分に、包帯を巻いた、やせた小さい子供だ


「、、、おじさん、来てたんや、いつもいつも、えらい、すいまへんなぁ

うちが、こないなってなかったら、おじさんに迷惑かけへんかったんやけど」


顏の包帯を変える


ドロドロに溶けたーー左半分の皮膚、美しい黒目がゆがみ、鼻は骨が見えている

右手、右足、左手、左足も重度の溶けた後ーーただれて、左腕にいたっては、

肩からない

「--斬らなければ死んでいたーー肉が腐ってた、」

右足も、同様ーーただし、こちらはももからという違いはある


「お姉はんーーしらんひとやなぁ、おじさん、この人誰?」

「俺が仕事を頼んだ人だよ」

「ふぅん」



ーーー3年前、第一支部の近くの「第一実験棟」--そこで、事件が起きた


ーー突如、30人近くの人間が「溶解」しだしたのだ


おじさんも含めー―数十名が、治療&処理(埋葬)にかかわった


いかに人死にに慣れた「実験棟」の面子とて、異常事態に心を凍らせた



ーー結局、あのとあと「助かった人物も、次々と感染症にかかり死んでいった


ーー彼女は最後の生き残りだったのだ


ー「そん時、強気う思ったんや、これはおじさんらに「流流奇伝」りゅうりゅうきでんを持ってこられへんと困るって」

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片羽の鳥 暇の三 @13222uygu

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